美肌とキレイな体型を維持するモデルや女優は、なぜヨガするのか?。ヨガの持つ美肌・美容パワーに間違いありませんが、ポイントがずれていればヨガの美容効果はありません。そこでアンチエイジング、睡眠、便秘と3つの美肌・美容テーマに分け、ヨガで最大限美容効果を引き出す大切なポイントをまとめています。
ヨガの美容効果は確か、でもやり方が間違えば効果なし
ヨガが直接、効果を発揮するのは大きく分けて、ヨガポーズによる姿勢の調整、呼吸法による自律神経の調整など。内側からキレイになる上でこれらの効果は、どれもパワフルなものの、それが美容とどう結びついているのか分かりにくいもの。
また、ヨガポーズや呼吸法は種類が数多く、それぞれ効果が異なるために全てを「ヨガ」と捉えて実践しても、それが即、美容に効果を発揮することにはならないので注意が必要です。
内側からキレイになる上で大切な3つのポイントとヨガの効果
今日はそんな間違いを防ぐためにも、美容の大切なポイントをあげながら、ヨガをどう活用すれば美容効果を引き出せるのかまとめています。アンチエイジングなど美容目的でヨガを実践している方がいれば、普段のヨガが以下にあげたポイントに当てはまるか確認してみださい。
1. アンチエイジングのためのヨガ
「老化 ≒ 酸化」であり、加齢に伴って増加する活性酸素が肌のたるみやシワ、白髪。そして生活習慣病の根本的な原因であることはよく知られていることです。美容を語る上で「抗酸化」というキーワードが度々聞かれますが、まさにこの酸化を防ぐ力のことを指します。抗酸化力のあるコスメ製品、抗酸化力のある食べ物など、美容で何かを選ぶ上で一つの基準になっていますね。
若くいるためにはミトコンドリアを増やそう
活性酸素は、私たちの細胞にあるミトコンドリアが上手にエネルギーを生み出せなくなることから発生します。もともとミトコンドリアは、酸素と食事から摂取した栄養を反応させてエネルギーを生み出す過程で、その副産物として活性酸素を出しています。
しかし加齢に伴いミトコンドリアの数が減ること。そして、生活習慣の悪化やストレスによりミトコンドリアの質が落ちることが原因となり、活性酸素を生み出す量が増えてしまうのです。※1
とはいえ良質なミトコンドリアを増やす方法もあります。まず喫煙や過食、睡眠不足といった悪い生活習慣の改善と、定期的なジョギングやランニングといった有酸素運動。そして、ミトコンドリアが多く存在する背筋や太ももなどの筋力を高めることです。
姿勢を正せばミトコンドリアは増える
ミトコンドリアは姿勢をつかさどる、特に背中と太ももの筋肉に多く含まれています。※1そのため、この部位を強化できるアーサナをご紹介します。
といってもヨガのポーズは姿勢を整えるためにあると言っても過言ではありません。次のアーサナはいずれも初心者クラスで実践する内容ですから、普通にヨガをおこなっていれば強化できています。(ただし、正しくアライメントが取れていないと効果はありません。ヨガインストラクターにアドバイスしてもらいましょう。)
背中を強化するアーサナ
背中というとヨガポーズのほとんどと言えるかもれいませんが、特に下記のアーサナは背中を意識して行うものです。
1. アルダウッタナーサナ(半分の立位前屈ポーズ)
半分の立位前屈(アルダ ウッタナーサナ)は、インバージョンポーズの一つとして、内臓を逆さにすることで胃痛を静め、肝臓、脾臓、腎臓の調子を整えると言われています。また、股関節と骨盤を意識し前屈することに加えて、背中をしっかりと意識できるポーズです。
- タダーサナのポーズで立つ。
- 息を吐きながら前屈し、手の平を床につける。この状態で手を両足の横へ、さらにかかとの後ろへと順次移動させる。
- 頭を持ち上げ、背骨を伸ばす。尻をわずかに頭の方へと移動させ、足が床と垂直になるようにする。呼吸を繰り返す。
- 息を吐きながら状態を足に近づけ、頭を膝につける。膝を曲げない。内腿を引き上げるようにして膝頭を引き締める。深く呼吸をする。
アルダウッタナーサナ(半分の立位前屈ポーズ)の詳細は以下を確認してみてください。
ヨガポーズ解説:半分の立位前屈(アルダウッターサナ)
2. ヴィーラバッドラーサナⅠ(英雄のポーズⅠ)
戦士のポーズⅠ(ヴィーラバッドラーサナⅠ)は、胸が十分に伸展させ、背中全体を強化するポーズです。また、首、肩、背中のコリを取り除きます。
- 左足を後ろに大きく引いて足先は内側45度。右足先は正面に向け、踵が左足の土踏まずと直角になるようにする。
- 骨盤を正面に向けて息を吸いながら両手を頭上に上げ合掌。
- 息を吐きながら右膝を直角に曲げ、踵の真上に膝が来るように足幅を調節。前足だけに体重をかけず、両脚全体に均等に体重をかける。
- 息を吸いながら肩甲骨辺りから背中を反らす。腰から反らない。
- 息を吐いてグランディング。
ヨガポーズ解説:英雄のポーズI(ヴィーラバッドラーサナⅠ)
3. ダヌラーサナ(弓のポーズ)
弓のポーズは、加齢に伴って柔軟性を失う背骨の柔軟性を取り戻し、腹部内臓の調子を整えることができると言われています。
- うつ伏せになる。息を吐きながら膝を曲げる。両手を後方に伸ばし、左手で左の足首、右手で右の足首を掴む。
- 息を吐ききるようにして、膝を床から離し、体を伸ばしながら両手をさらに上げ、胸も反らせる。身体は弓、手は弦の役目を果たし、手で身体をいっぱいまで張るようにする。
- 頭をできるだけ後方に反らせる。肋骨も骨盤も床につけない。下腹部だけで身体全体を支える。
- 両足をあげる時は両膝をつけない。つけると足が十分に上がらない。足が完全に上がるようになってから、両腿、両膝、量足首をお互いに合わせていく。
- 息を吐きながら足首から手を離し、足を伸ばす。ついで頭と足を床の上に戻し、身体を楽にする。
ヨガポーズ解説:弓のポーズ(ダヌラーサナ)
上記のほか、ブジャンガーサナ (コブラのポーズ)なども背中を強化できるアーサナですが、腰を痛めやすいポーズでもありますのでヨガインストラクターから適切な指導を受けて実践してください。
太ももを意識できるアーサナ
1. ウッカターサナ(椅子のポーズ)
椅子のポーズ(ウッカターサナ)は、正しく行うことで肩のコリをとり、軽度の足の歪みの矯正に効果があると言われている。同時に体幹と太腿をはじめとする下半身に集中しながらとるポーズですので、しっかりと下半身を鍛えます。
- タダーサナのポーズで立つ。両手を頭上に伸ばし、手のひらを合わせる。
- 息を吐きながら膝を曲げ、腿が床と平行になるまで上体を下ろしていく。
- 前かがみにならないように胸を大きく広げる。呼吸を繰り返す。
- 息を吸いながら足を伸ばし、手を下ろしてタダーサナに戻る。
ヨガポーズ解説:椅子のポーズ(ウッカターサナ)
2. ガルダーサナ(鷲のポーズ)
ワシのポーズ(ガルダーサナ)は、足首、ふくらはぎから大腿、股関節までのストレッチ効果とともに、肩、肩甲骨周辺のストレッチ効果を得られるポーズです。
- ターダアサナの姿勢で立ち、右足を曲げる。
- 左足を右膝の上、腿あたりに乗せ、左右の腿をぴったりとつける。
- 左足を右足の後ろに回し、右足首にひっかけるようにする。
- 腕を胸の高さまで上げ、右肘を左肘に乗せる。右手を右に回し、左手は左に回して絡ませて手のひらを合わせる。
- 息を吸って背筋を伸ばし、吐きながら膝を曲げて深める。
ヨガポーズ解説:鷲のポーズ(ガルダーサナ)
3. アンジャネーヤーサナ(ローランジ)
ローランジ / 三日月のポーズ(アンジャネーヤーサナ)も骨盤、股関節から背中の肩甲骨まで可動域と姿勢を意識できるポーズです。またバランス感覚も向上できます。
- ひざまずいた姿勢から、膝を曲げたまま右足を前に踏み出し、右の腿と床を平行にして膝を直角に保つ。
- 左脚前面を伸ばす。左脚の付け根から膝までをよく伸ばし、さらに膝から足首、足の甲からつま先にかけて伸ばす。
- 両腕を頭上に上げ、胸を持ち上げながら指先までぴんと伸ばす。楽にできる程度まで後屈し、尾骨を床の方へ伸ばして、左腿の前面をストレッチする。
- 手のひらは向き合わせるか、首、肩が硬くならないようなら合掌。顔は仰向け、まっすぐ上方を見つめる。
ヨガポーズ解説:ローランジ(アンジャネーヤーサナ)
こちらも一般的なヨガクラスで実践しているものが多いと思います。とはいえ、ポーズを真似ているだけではなく、太ももを意識しながら行ってみることが大切です。
また姿勢改善とヨガについては、以下の記事でここで紹介したアーサナ以外も取り上げています。興味がある方は参照してみてください。
もっと詳しく:姿勢改善に効くヨガポーズ – 姿勢を正してマインドをポジティブに
2. 美肌のためには質の高い睡眠が欠かせない
美肌のハリ、しっとりとしたツヤは表皮、真皮、皮下組織、筋肉によって保たれています。保湿を高めるヒアルロン酸や、ハリ・ツヤで大切なビタミンCなどの美容成分を化粧品などから取り入れている方は多いでしょう。
美容成分を取り入れても安眠できなければ無駄になる?!
しかし、肌細胞の再生に質の高い睡眠が関係していることを知らない方もいるかもしれません。睡眠中は、深い眠りであるノンレム睡眠と浅い眠りのレム睡眠が交互に訪れます。入眠直後には、最初のノンレム睡眠が現れますが、その際に分泌されるのが成長ホルモン。
私たちの肌細胞の再生は、この成長ホルモンによって促進されているのです。また睡眠は肌の保湿で大切なコラーゲンの合成とも関係しています。そのため、美容成分をいくら取り入れても、睡眠をおろそかにしては無駄になる可能性があるのです。
安眠をもたらすヨガポーズと呼吸法
睡眠の質を高めるには概日リズム(サーカディアンリズム)を整えセロトニンを活性化するなど、いくつかの生活習慣の改善が大切ですが、詳しくはこちらの記事にまとめています。
もっと詳しく:睡眠の質を高める5つの習慣で心と身体に真の休息を
今回は睡眠を高める習慣のうち、就寝前に行って欲しいヨガのリラックスポーズをご紹介します。それはヨガの究極のリラックスポーズとも言われる、シャバーサナ。就寝前に行うことで筋肉、内臓、神経を休め、副交感神経を優位にさせます。全身と心が弛緩された状態となりスムースに入眠でき、成長ホルモン分泌の準備を整えます。
ヨガポーズ解説:屍のポーズ、亡骸のポーズ(シャヴァーサナ)
シャバーサナは、ベッドの上で仰向けになり、両手を体側から15センチほど離します。両足は30〜45センチの間隔に広げ、目を閉じる。そしてゆっくりと深い呼吸をしながら、全身を弛緩させていきます。すると、徐々にとらわれのない状態になっていくのを感じるでしょう。
シャバーサナの実践は以下の記事で詳しく解説しています。ヨガの経験がなくても誰でも実践できますので是非、参考にしてみてください。
もっと詳しく:シャバーサナ- 毎日15分で心と身体に究極のリラックスを与える方法
3. 美容の大敵、便秘をヨガで防ぐ
肌トラブルの主要な原因として便秘もあります。便秘になると肌のハリ・ツヤがなくなり、肌のくすみといった肌トラブルを引き起こすと言われています。
これは食べたものが排出されず腸内に長期間留まることから腸内環境が悪化。有害物質が腸から吸収され血液を通して全身に廻ります。これが身体の基礎代謝を低下させ、肌再生にも影響すると考えられています。
便秘の原因としてよく知られているのが食物繊維や水分の不足。これは食生活の改善が必要です。例えば、いつもの食生活に、食物繊維が豊富なチアシードやアサイーなどのスーパーフードを取り入れるなど、意識して食物繊維をとりましょう。これらのスーパーフードについては以下の記事で詳しく取り上げていますので参考にしてみてください。
もっと詳しく:スーパーフード – 知っておきたい厳選9種と効果効能
そして便秘の原因は食生活の乱れだけでなく、ストレスによる自律神経の乱れもその一つです。
ヨガ呼吸法で自律神経を整え便秘を防ぐ
自律神経は腸などの消化器官の働きを制御しています。そのため生活習慣の悪化やストレスにより自律神経のバランスが崩れると腸の活動にも影響し、便秘になると言われています。
自律神経は交感神経、副交感神経からなり、交感神経は身体が活発な状況、緊張している状況下で優位に立ちます。反対に副交感神経は睡眠や食事など身体がリラックスしている状況で優位になります。自律神経の乱れは、例えばストレスを受け続けるなど、交感神経が優位な状態が続くことで乱れると考えられています。
副交感神経を優位に導くヨガ呼吸法
しかし、ヨガ呼吸法は自律神経の働きを調整する効果があり、意識的に副交感神経を優位にできることからストレスによる自律神経の乱れを調整することができます。
ヨガの呼吸では息を「吸った」場合に交感神経が優位に立ち、「吐いた」場合には副交感神経が優位に立ちます。深くゆっくりとした呼吸を意識し、特に吐くときに長く時間をとるようにします。すると副交感神経を優位にさせることでき、ストレスや痛みの緩和、不安感を抑えるなど、リラックスや幸福感の状態を感じさせることができるのです。
ヨガの呼吸法はヨガをやったことがない方にも簡単に取り入れられる利点があります。自らの呼吸をコントロールすることで身体の反応まで影響を与えることができます。ヨガ呼吸法と自律神経については以下の記事で詳しく取り上げていますので詳しく知りたい方は参考にしてみてください。
もっと詳しく:ヨガの呼吸法で自律神経をコントロールできる、その秘密。
ヨガは内側から働きかける美容法
今回解説してきたヨガの美容法には共通点があります。いずれも内側にある私たちの本来の能力を取り戻すアプローチであることです。コスメやサプリメントなど外側から加える方法ももちろん大切ですが、生活習慣や食生活の改善、そして身体と心のバランスを整える、つまり内側を変えることを忘れてはいけないのです。
これだけ科学が発展しても、私たちの脳、身体、心(感情)の仕組みは未だ解明されていません。私たちの身体は複雑で緻密な一つの巨大なシステムであって、どれか一つの調子が狂うと全体のバランスが崩れる繊細さも持っています。
「なんとなくの身体の不調」は、バランスが崩れたシグナルであり、放っておけば様々な症状を引き起こします。そのためサプリを飲むといった対処的な措置を行うだけでなく、統合的にアプローチすべきなのでしょう。
そうした意味で、瞑想で脳を、ヨガポーズで身体、そして呼吸法で感情へ働きかけるヨガは、理にかなった美容・健康法ではないでしょうか。もし、外側からの美容法だけに頼っているなら、ぜひこの機会にヨガを始めてみてください。そして既に美容のためにヨガを行っているのなら、今回あげたポイントが当てはまっているか確認してみてください。