最近はスーパーマーケットでも見られるスーパーフード、チアシード。オメガ3、豊富な食物繊維、鉄分など女性が必要とする豊富な栄養素が魅力です。なぜここまで人気なのかその理由を解説するとともに、効果を引き出す正しい摂り入れ方まで、知っておくべきチアシードの全てをご紹介します。
既にチアシードは日本でもスーパーフードの代表としてポピュラーな存在で最近ではスーパーでも販売されています。シソ科植物でミントの仲間であるチアシードは、中南米の伝統的な食材で、古代アステカ王国では先住民が神に捧げるメディカルフードとして用いられていたようです。数あるスーパーフード食材の中でも比較的取り入れやすく、無味無臭で、乾燥しているときは胡麻のような見た目と食感です。
でも食べる前には水に浸してから食べるなどの注意点もあります。今回はチアシードの効果や効果的な摂り方について具体的に解説します。
チアシードの豊富な栄養素
スーパーフードとして期待を背負うチアシードですが、なぜこれほどまでに人気なのかご存知ですか?
一言で言えば豊富な栄養素がぎゅっと詰まっているのですが、具体的にはチアシード 大さじ1(10g)に含まれる栄養素は以下の通り。
- エネルギー 49kcal
- タンパク質 1.6g
- 食物繊維 3.4g
- カルシウム 63mg
- マグネシウム 34mg
- 亜鉛 0.46g
- 鉄 0.77mg
- オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸) 1.78g
かなり豊富であることがわかります。本当は全てを細かく取り上げたいのですが、「これだけは知っておきたい。」という観点から次の特徴と期待される効果について解説します。
1. 必須アミノ酸9種のうち8種を含む奇跡のスーパーフード
アミノ酸の重要性はご存知の方も多いと思いますが、チアシードは18種ものアミノ酸を含んでいます。また人間の体内では合成することができず、食べ物として外部から摂り入れることしかできないアミノ酸を「必須アミノ酸」と言います。チアシードは必須アミノ酸9種類の内、実に8種類も含んでいるのです。
チアシードに含まれる必須アミノ酸
- ロイシン
- バリン
- リジン
- トリプトファン
- メチオニン
- フェニルアラニン
- トレオニン
- イソロイシン
ロイシンやバリンは筋肉・疲労回復に関わり、リジンは糖質の代謝やホルモンや酵素の原料にもなります。また、トリプトファンは、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの原料として知られています。これらのアミノ酸は生活習慣病の予防やアンチエイジングに必要とされるものばかり。これほどまでに多くの必須アミノ酸が含まれている食物はめずらしく、チアシードが植物性タンパク源としては奇跡とも言われる所以なのです。
2. 不足気味のオメガ3必須脂肪酸が豊富に含まれている
最近の健康番組で認知症予防にえごま油が効果的と紹介されて話題になっていますが、それはオメガ3必須脂肪酸が含まれていることです。チアシードにもこのオメガ3必須脂肪酸が多く含まれています。(チアシード大さじ一杯[10g]中、1.78g)
アレルギー抑制やアンチエイジングに効果的なオメガ3必須脂肪酸
オメガ3は脳を活性化するDHA(ドコサヘキサエン酸)、血圧や中性脂肪を下げるEPA(エイコサペンタエン酸)、アレルギー抑制、老化予防などの効果があると言われるαリノレン酸が含まれており最近注目を浴びています。
オメガ3を含む不飽和脂肪酸は、必須アミノ酸と同じように体内では生成されず、食物から摂取しなければならないため、必須脂肪酸と言われています。また、現代社会でオメガ3必須脂肪酸を摂取することは実は難しい状況であることも言っておかなければならないでしょう。
私たちが日常的に摂取する油は、べにばな油、コーン油、ごま油、サラダ油、マヨネーズなどで、これらはオメガ6必須脂肪酸です。オメガ6はアレルギー促進、炎症促進、血栓促進、血液を固める作用があり過剰摂取が指摘されています。
オメガ3とオメガ6のバランスが大切
一見、オメガ6が悪者のように聞こえるかもしれませんが、オメガ6とオメガ3は反対の作用、つまり拮抗作用の関係です。オメガ6が不要ではなく、これらの摂取バランスがとても大切なのです。
チアシードに含まれる油分の内、60%がオメガ3系脂肪酸のαリノレン酸、20%がオメガ6系脂肪酸が占めています。この構成比が、脂質代謝の正常化に好影響を与えると考えられています。
3. チアシードは食物繊維が豊富!
食物繊維が豊富に含まれるチアシードは慢性的な便秘に悩む女性にとって腸内環境を整える上でとても期待してしまうスーパーフードです。
驚くべき食物繊維の量
チアシードの食物繊維は10g(大さじ一杯)に対して3.4g、つまり30〜40%は食物繊維なのです。この量が脅威的なのですが、どれだけ豊富か分かりやすく比較すると、例えば食物繊維が豊富と言われるゴボウ。ゴボウでも10g当たり0.61gと、チアシードはゴボウに対して約6倍もの食物繊維が含まれていることが分かります。
厚生労働省は成人女性であれば一日18gの食物繊維の摂取を目標としています(2015年版 日本人の食事摂取基準)が、日本人の平均は14gと言われています。食物繊維は意識的に摂ろうと思ってもなかなか目標値を満たしません。そうした中でいつもの食事にチアシードを大さじ一杯加えることで、ぐっと目標値に近づくのです。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が一緒に摂れる
そしてもう一つチアシードの食物繊維が優れている点は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種の食物繊維が含まれていることです。
水溶性食物繊維は水に溶け、血糖値の上昇を抑えたりコレステロールの吸収を抑制しながら排便を促します。一方、不溶性食物繊維は水に溶けず水分を吸って数倍にも膨れることで、便に水分を与えてほど良い固さにするため、排便をスムースにする働きがあると言われています。
ゴボウや納豆やプルーンなど食物繊維が豊富とされる食品にも2種含まれていますが、効率的な摂取という意味でチアシードには及びません。豊富で2種の食物繊維がしっかりと一緒に摂れるチアシードは脅威的なスーパーフードなのです。
4. チアシードは鉄分が不足がちな女性の味方
女性を悩ます貧血ですが、チアシードに含まれる鉄分も見逃せません。例えば鉄分が豊富とされる、ほうれん草。チアシードの鉄分含有量はほうれん草の4倍〜6倍と言われています。チアシードの豊富な鉄分をご理解いただけるでしょうか。
成人女性であれば一日、10.5〜11mgの鉄分が推奨されています。(厚生労働省|鉄の食事摂取基準)ほうれん草や小松菜などを摂りながらチアシードをプラスすることで、かなり補うことができるのです。
特に女性にとって知っておいて欲しいチアシードの栄養と効果について説明しましたが、この他、免疫力向上やタンパク質の合成に必要な亜鉛や、カルシウムなども含まれており、まさに栄養の宝庫と言えるとご理解いただけたでしょうか?
チアシードの摂り方
どのくらい摂取すれば良い?
チアシードは大さじ一杯でかなりの栄養を摂れることはご理解いただけたと思います。そのため、あまりに多い量を摂取してしまうと逆効果になってしまうとの報告もあります。そのため、一日あたり大さじ一杯程度に抑えるということが一般的に言われているところです。
エネルギーは、大さじ一杯(10g)で49kcalです。たまに100gで500kcalとしてカロリーが高いという方も多いのですが、味も香りも低いチアシードを100gとるというのは現実的でありません。それほど心配しなくて大丈夫だと個人的には感じています。
食べる前に水に戻す
水分の多いジュースなどに含ませるのであればそれほど問題ないのですが、そのまま摂る上で気をつけたいのが、チアシードは水分を吸収するところ。胃の中で水分を吸収しますので、その点は知っておいたほうが良いでしょう。
食べる間には約30分ほど水に浸すと粘膜状になります。粘液状の90%以上を占めている主成分は水溶性食物繊維であるため、満腹感を持続させる作用があると言われています。水に浸すほど粘度が高くなりますので好みの硬さに戻してください。
無味無臭なので様々な使い方ができる
ゴマのようなチアシードですが、ほとんど無味で香りもありません。そのため使い方も広がります。
少しアレンジするのであれば、卵に混ぜて揚げ衣にしたり、とろみが出るので、あんかけ料理など片栗粉の代わりに使うなど。ただし、加熱してしまうとオメガ3系の脂肪酸が酸化してしまいますので、オメガ3必須脂肪酸の効果を得たい場合には加熱せずに食べたほうが良いでしょう。
そのため、非加熱で食べる場合には、ジュースに混ぜて飲むのが手軽です。私はアサイージュースに混ぜたりしています。チアシードとアサイーと、ダブルでスーパーフード摂れるのでオススメです。また、ヨーグルトにかけたり、またはジャムなどと混ぜてトーストに塗るなど、簡単に摂り入れることができます。
チアシードが奇跡と呼ばれる理由をご理解いただけましたか?少ない量にもかかわらず豊富な栄養素を含むチアシードを是非、摂り入れてみてくださいね。