小泉勇人氏 – 元Jリーガーが選んだセカンドキャリアは料理家。しかも単なるレシピではなく、料理が苦手な人でもできる、身体と心が整い、人生が豊かになる食事法。実は独自のレシピを生み出した背景には、どん底のコロナ禍で味わったアスリートとしての将来の不安と苦悩があったのだと言います。毎日の自炊と身体と心の探究が導き出した独自の食事法の秘密に迫ります。
2023年2月に現役引退、「株式会社en's life」の設立を発表。「食を起点に多方面から人生を豊かに」の理念のもとキッチンアイテムの企画開発やレシピ本の出版、社会貢献活動など精力的に活動する。
尾花:元Jリーガー、そして現在は料理家や会社の社長の顔をもつ、ユニークなキャリアを歩んでいる小泉さん。今はどんな活動をされていますか。
小泉:昨年サッカー選手を引退し、現在は料理やそれに関連する事業を行っています。
料理が苦手な方でも作りやすいレシピの開発・発信はもちろん、器やカトラリーなどプロダクトを作ったり、遺伝子検査事業も展開しています。
その根幹にあるのは「食を起点に多方面から人生を豊かに」という理念です。これまでの経験を後世に伝えたり、子どもたちが未来に夢を持てる社会を作りたいと思って発信やサービスの提供をしています。
食を起点にしながら様々な専門家や企業とコラボレーションをしたり、新しいサービスも続々リリース予定です。
👉 レベルに応じた丁寧かつ親切な指導で初心者の方も安心
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Yu Studioの特徴を詳しくコロナ禍の不安から始めた自炊が身体だけでなく心までを変えてくれた
尾花:小泉さんはもともとお料理は苦手だったそうですね。どんなきっかけでお料理を始め、のめり込んでいったのでしょうか。
小泉:きっかけはコロナ禍でした。
コロナによってサッカーの試合ができなくなり、練習もできなくなり、なかなか外食もできない状況になりました。先行きが不透明で収入も減ってしまうかもしれない、そんな不安がよぎる中で自炊をするしかなかったというのが正直なところです。
自炊をすること自体は体にもいいですし、自分のキャリアにもプラスになるなら良いなと思って始めました。
尾花:自炊をしたことでどのような変化があったのでしょうか。
小泉:自炊を始めて数日後、1週間後くらいに体が軽いなと感じました。体が軽いからやる気が溢れてきて、1日の行動が前向きになりました。昼間は活動的で夜は良く眠れるようになって、食事を変えただけでもっと別のことが変わっていくような実感がありました。
だから食事や食生活は体と密接に繋がっていて、食事を整えることが体にとってすごく大切なことかなと身をもって実感しました。だからそれを同じように悩む人にも知ってほしいとSNSで発信も始めることにしました。
尾花:確かにストレスが溜まった時、甘いものや辛いものなど嗜好品や刺激物が欲しくなりますが、余計に心が不安定になると感じることがあります。逆に体に良いものを食べた時って体の内側から元気がみなぎってくる感覚なんかもあります。
普段何気なく選択している食事がこんなに体のコンディションに影響することは、スポーツ選手であれば人生を左右するような大きな影響がありそうですね。そうでなくても日々全力で働く大人の私たちもそうですし、お子さんたちにもぜひ知ってほしいことですよね。
小泉:アスリートの僕だからできる発信があるのではないかと思って始めましたが徐々に大きくなる反響がとてもモチベーションになりました。
だからもっと勉強して伝えたいと思い、食やメンタル、フィジカルに関する資格も取得しました。そして昨年引退したタイミングで事業としてやっていこうと決意し、en’s lifeを立ち上げるまで至りました。
尾花:2年ほどの間にあっという間にお料理の方として認知されるようになりましたよね。その行動力と推進力はなかなか真似できることではないですが、小泉さんの投稿は食事を起点にライフスタイル全体がよくなるような提案も併せてされているように感じています。
例えば小泉さんのSNSではおしゃれなキッチンやお部屋のインテリアもこだわりが詰まっているようですが、こだわりがあるのでしょうか。
小泉:以前はインテリアにも特に興味はなかったですね(笑)。でも料理と同じように自分が居たいと思える空間や色、家具に囲まれるということは自分のQoL(Quolity of life ;生活の質)も上がりますし、キッチンにも向かいたくなりますよね。
そうやって自分がご機嫌になれるサイクルを回すことでお料理や発信のモチベーションにしていました。
「好きな空間で自炊をして、それを発信する」この流れを繰り返し続けることによってだんだん習慣になります。だから料理は好きではなかったけど、苦ではなくなるし体調も良くなる。そして楽しむことができるから継続できました。この循環は料理に限らず目標を達成するためのプロセスとしてすごく大切なことだと思います。
発信に関しても同じです。僕は普通の人とは違うキャリアを歩んできた分、自分にしかできない発信があると感じています。
具体的には「体への影響」「ストレスフリーで作れる簡単なレシピ」「アスリート、ダイエットなど目標に特化した情報」を必要としている人に届けていくことで反響があり、またそれがレシピやサービスを作るモチベーションに繋がっています。
尾花:なるほど。習慣化していくことはすごく頑張って苦しい思いをして身につけるのではなく、楽しく続けるにはどうしたらいいか考えると無理なく続けられそうですね。
ストイックなアスリート出身の方とは真逆の印象ですが、苦手なことを好きに変えていくのに効果覿面な心の持ち方だと思います。
アスリート時代に培った集中力で、揺らいだ自信を取り戻してきた
尾花:これまで食を起点に、体のことだけでなく心の在り方や整え方についても学ばれていますよね。発信する言葉からは、心に働きかけてくるような内容も多く拝見しました。
一見アスリートというと、体のことを第一優先にすると思ってしまったのですが、心について着目したのはなぜでしょうか。
小泉:アスリートというとフィジカルのイメージをお持ちかもしれませんが、アスリートこそメンタルのケアがとても重要です。
勝負の世界の中で選手が強気なプレーにチャレンジできるのも、逆に弱気なプレーになってしまうのも、心の在り方が大きく影響します。自分の気の持ち方は、プレーをする上でとても大切な要素です。
その中で特に大切にしていることは、過去や未来ではなく「今」に集中することです。「今」できることをやることが心を整え、成長させてくれます。
心理学も学んできたので、自己肯定感や自己受容感に悩んでいる人からも相談を受けることがあります。その時に今に集中すること、いわゆるマインドフルネスの継続がそれを解決する一つの糸口だと伝えています。
その連続を続けることで、誰にも負けないと思える自信がついたり、何があっても生きていけるよ、というような心を育んだり、安定した状況に変化していきます。これはやり続ければ誰でも実感できますし、逆にやり続けなかったら一生わからないことのような気がします。
尾花:私自身もそうですが、なかなか自分に自信が持てなかったり、自分を認めることがなかなかできないという声をよく聞きます。
小泉さんがその「今」に集中することの大切さに気がついたのは何かきっかけがあるのでしょうか。
小泉:僕はサッカーを通じて小さな積み重ねの習慣が子どもの頃からあり、それは自分の強みとして自信を持っています。今はそのフィールドがサッカーから料理に変わっただけという感覚なので、料理を続けることに集中しています。
きっかけは良いことでも悪いことでも、本当に自分が変わりたいと思ったら自ずと変われます。たとえ自分にとってネガティブな出来事があっても、その捉え方で行動は変わります。その行動をより良いものにするために多くを学び、経験したことが役に立ちました。
だから起きた出来事そのものに意味があるのではなく、その時の心の状態が意味付けをすると考えると同じ出来事でも見え方が変わりますよ。
忙しくても食事を作ること、食べることに時間を割くと身体と心は満たされる
尾花:ここからは料理家の小泉さんに体も心も満たす食事のコツについてアドバイスいただきたいと思います!
小泉:それにはまずはゆっくり時間をかけて食事を取ることで過食を防ぐことができます。よく噛んで食べることは消化能力の向上にも繋がります。体の面だけでなく、一度落ち着く時間が取れるので心に余裕が生まれるのも良い点だと思います。
忙しい中で何に自分のリソースを使うかは人それぞれだとは思いますが、僕は「食事と作る、食べる」というところに時間をなるべく割くようにしています。
一言で食事と言っても器の選び方、並べ方、盛り付け、味付け、そして食べるところまで一連の流れがありますし。口の中に入った後も上から下へ消化器官をたどりながら栄養が吸収され排出されていきます。
だから食事というのはこの一連の流れ全体と捉えていて、全てを丁寧に行うことが自分のご機嫌を取うり、幸福度が上がっていくものだと思います。
尾花:なるほど!普段から仕事に追われて余裕のない私に刺さります(笑)。
私は一人暮らしなのでついついテレビをつけてささっとご飯を済ませてしまうことが多かったのですが、お料理の盛り付けを工夫したり、箸置きを使うようになったりしたことで一口ずつゆっくりとご飯を食べるようになった気がします。
作ることや食べることを流れ作業にせずにその時間に集中していくことがより良い食事時間になりそうです!
最初は1品を変えるだけで良い、徐々に100点を目指そう
尾花:ライフスタイルの中で自炊や食事に焦点を向けた方が次にぶつかる壁が「選択の多さ」のように感じます。
今は本当に簡単に情報が手に入る時代ですし、商品もすごい数あります。
それらが「正しいのか、自分にあっているか」を知るために、どのような判断軸を持ったら良いのでしょうか。もちろん人それぞれ目標や目的があるかと思いますが、小泉さんが食べ物を選ぶ時どんなことを軸に選んでいるか教えてください。
小泉:まずは「気にしすぎないこと」を心がけてください。
最初から100点を目指すとだんだんモチベーションが落ちてしまいます。
まずは自分が口にしているものがわかっていたらOKです!よく新入社員が言われるような60点〜70点でまずアウトプットしてみて、それを検証しながら徐々に100点を目指していくことと考え方は一緒です。
料理を作ることは「栄養」と「工程」のバランスです。最初は栄養をたくさん摂ろうと品数をたくさん作ろうとしてしまいがちです。そうすると手間もかかるし調味料もたくさん使ってしまいます。
だから、まずは普段の白米を炊き込みご飯に変えてみたり、お味噌汁を具沢山の豚汁にしてみたり、品数はそのままですが、食材の数は増やすことができます。
あとは主菜を1品作れれば、十分に野菜も栄養を取れますよね。忙しくてなかなか自炊が遠のいている方こそ、ちょっとした工夫で充実させることができますよ。
尾花:勝手に自分で「丁寧な暮らし」のハードルをあげていたかもしれません。少し気が楽になりました。
小泉:はじめの60点、70点の地点から、継続することで勝手に仮説検証ができます。その検証の中でどんどん精度を高めていけばいい、という考え方です。
色んなものを試しながら自分の体の状態や精神状態が良くなるとか、よく眠れるとか、自分にあったものが見つかるはずです。
健康美やせ! カスタム献立 組み合わせれば勝手にやせる! 元Jリーガーのリアル自炊記録
Jリーガー時代から自炊レシピをSNSで発信し、SNSフォロワー20万人超え。
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元プロサッカー選手が教える いくら食べても太らない罪悪感ゼロごはん
小泉さんはアスリートフードマイスター3級や上級食育アドバイザーなど、食に関する6つの資格を取得しており、健康を考えた食事メニューを発信しています。
小泉さんの料理は美味しいだけでなく、栄養のバランスも考えられていて、運動する人はもちろん、ダイエット中の方や子どもの食育にも最適です。
本書では、そんな小泉さんのレシピの中からダイエット向けの80品以上を掲載!簡単で美味しくヘルシーな“ズミ飯”を習得できる一冊です!
単一の情報に惑わされないために意識しておくべきこと
小泉:もう一つ大切なことを話しておくと、食材や物事を単体で考えるのではなく「複雑性がある」前提で考えると良いです。
尾花:複雑であること、というのはどういうことでしょうか。
小泉:私たちは様々な要素で構成されています。色んな要素が絶妙なバランスで保たれていると前提で考えておくことが大切だと思います。例えば人間の体も水分100%ではなく、筋肉や骨、皮膚など色んなもので私たちを形作って、そして動かしています。
だから、「この栄養素だけ取れば良い」とか「ヨガだけをしていればいい」とかそういう話ではないということです。
もっと言えば遺伝子情報だって1つ書き換わったら違う人間になってしまいます。その複雑な遺伝子の奇跡の組合せで私たちは存在しています。だから物事を単体で捉えるのではなく複雑であり、バランスがあることを踏まえて日々の生活を過ごしています。
きっとこの考え方で心の在り方も変わっていくと思います。だから何か一つやれば全てが良くなったり悪くなったりするわけではないので、色んなものを試し、経験して自分に合うものを見つけていけばいいのではないでしょうか。
尾花:確かに私たちの身体は様々なもので構成されていますし、心の中も複雑ですよね。そういう前提に立ってみると短絡的な解決を求めずに、じっくり時間をかけて、自分にフィットするものを探していくような、自分自身と向き合う姿勢でありたいですね。
毎日の積み重ねや新しい知識が自分の成長を実感させ、自己肯定感を作り上げる
尾花:ここまで食やライフスタイルを切り口に自分を大切にする方法を教えていただきました。
食に限らず、多くの人と交流したり、拘りのプロダクト作り、社会貢献活動などその活動領域は多岐に渡っています。
やりたいことを実現させていくのはとても大変だと思います。何が前向きな行動を生み出す原動力になっているでしょうか。
小泉:やっぱり探究心と好奇心を持ち続けることでしょうか。子供の頃からサッカーが上手くなりたくて色んなことを学んできました。その学ぶ過程で新しい知識が得られると、さらにまたチャレンジをすることを積み重ねてきました。
新しい知識を得ることは経験も積み重なり、どんどん視野が広がります。そうしてできた点と点が線になって繋がっていく面白さを感じています。
このサイクルが回っていくとなりたい自分に近づいていくのがわかります。だからハードルの高いことにも挑戦していけるのだと思います。
尾花:次々と新しい領域にもチャレンジされているその熱量に私自身も勇気づけられています。でもどこかで立ち止まって不安やネガティブな感情が沸き起こってくることはないのでしょうか。
小泉:もちろんあります!むしろ心の状態がずっと安定しているということが僕は逆に不安です。居心地の良い空間にずっといるということは変化していないと捉えています。
新しいことを作り上げるのは、わざわざバランスを崩していくことなので、一歩先に進みたいならストレスがかかることも必要なことかなと思っています。だから不安になることは悪いことだと思わないというのが僕の考え方です。
尾花:ネガティブな感情も悪ではない、という考え方は前向きで良いですね。でももしネガティブな感情でいっぱいになってしまったらどんな対処をすれば良いのでしょうか。
小泉:僕は楽観性を持つことも同時に大切にしています。そのベースは自己肯定感や自己効力感です。それらは、毎日の積み重ねや新しいことを学んで自分の成長を実感することで手に入れることができます。
例えば朝早く起きれたよね、とか毎日ベッドメイキングできたとか、筋トレとかランニングでも本当に何でも良いです。毎日何か小さなことでも継続することで自分のことをコントロールできている実感が生まれ、自信に繋がります。
僕自身も固定概念ガチガチの環境に身を置きその中で苦しんでいたこともあります。自分自身のステージが変わり見える世界も変わりました。そこには自分がこれまで積み重ねてきた努力があり、これだけ努力してきたから起業しても何とかなるかな、と踏み出せました。
今は様々なバックグランドの方たちとお仕事をする中でポジティブな循環の中にいます。よく迷っている方の相談も受けますが、自分らしく前向きに生きられるように日々好奇心や探究心を持って毎日を送っていけたら良いのではないかと思います。
なりたい自分に近づくように積み重ねるちょっとした努力が身体と心を整える
尾花:ここまでプロサッカー選手時代の過ごし方を振り返っていただき、ご自身をよりよくしていくために実践されていたことをお伺いしてきました。
淀みなく発せられるその言葉に、努力を続けてきた姿を感じることができました。
インタビューの中で「なりたい自分に近づけるように努力を積み重ねる」姿勢が印象的でした。レシピの開発にとどまらず着心地の良いお洋服や食卓を充実させるカトラリーそして遺伝子検査サービスなど全て「なりたい自分」になるための線上で展開されているのだと感じました。
理想はあってもなかなか丁寧なライフスタイルを実現するのが難しいなと思う毎日です。まずは自炊や食事の時間を大切にしてみるのはいかがでしょうか。お腹も心も満たされて前向きな日々が過ごせますように。
小泉 勇人公式 Instagram:@yuto_koizumi.40
自炊アカウント:@zumi_meshi
小泉さんがプロデュースするオリジナルブランド:@en.s.life_
👉 レベルに応じた丁寧かつ親切な指導で初心者の方も安心
👉 アライメントを重視したポーズ指導
👉 アットホームでコミュニティを大切にする雰囲気
👉 施設・設備の質と清潔さ
ヨガの効果をしっかりと感じたい、上達したいといった方、是非ともYu Studioに遊びに来てください。
Yu Studioの特徴を詳しく