チャタランガダンダーサナは、全身を使う強度の高いアーサナ。体幹を強く意識することから始まり全身を統合させて行う必要がります。強度が高いために一つの箇所に間違いがあると、それを補うために別の箇所でミスアライメントが起きるなど全身のつながりが大切なアーサナです。
太陽礼拝6つ目のポーズは「チャタランガダンダーサナ」です。
チャタランガダンダーサナの意味と効果
まずは、今回もチャック先生のお手本を見ながらチャタランガダンダーサナの意味を考えていきましょう。
チャトゥルは「4」を、アンガは「手足」や「手足の部分」、ダンダは「杖」や「棒」を意味し、手のひらと足の4点で身体を支え、全身を杖のように伸ばして床と平行に保つポーズです。この意味から考えても理解できるかもしれませんが、チャタランガダンダーサナは腕を強化し、手首の可動域と力を増加させます。
また、写真では分かりにくいのですが、内臓腹部を収縮させることが大切です。収縮させることで内臓の調子を整えます。このアーサナは強度が高く、強い体幹が求められます。お腹と内転筋を使い、脇を締めることがポイントですが、間違ったアライメントで行うと手首を痛めたり、疲れを増加させてしまいますの注意が必要です。
チャタランガダンダーサナのミスアライメント
さて、チャタランガダンダーサナも見た目からは想像できないほど、注意点があるアーサナ。よくありがちなミスアライメントを具体的に見ていきましょう。
- 手首の真上に肘がない
- 肘より肩が下がっている
- かかとを蹴っていない
- 肩甲骨が寄り、背中が落ちている
- 骨盤が上がっている、または下がっている
- 顎が飛び出している
- 首の後ろがすくむ
- 膝が落ちている
- 内転筋が使えていない
- 体幹が使えていない
この中から、特にありがちなミスアライメントの以下4つを解説します。当てはまる箇所があれば是非とも修正していきましょう。
肘より肩が下がっている
この写真は、腕周りで体重を支えきれず、前傾してしまう、よくある光景です。肩と肘を含め、上体を床と平行にするこのアーサナは、とても強度を必要としますが、身体を支えきれないと、肘が天井方向に抜けて、肩が床の方に下がって(落ちて)しまいます。
こうなると肩の前面に負担がかかってしまいます。腹部、特に腹圧と体幹を意識し、全体で体重を支え、身体を下に降ろすのではなく、前に移動させるように行いましょう。
顎が飛び出している
このミスアライメントもよく見かけます。
このアーサナも、「タダーサナの姿勢を横に倒した形」となりますので、頭蓋骨の位置は背骨の延長上にくるようにします。当然、それに伴って顎の位置も自然な位置になります。
また、顎が飛び出していると、首の後ろに力が入り、肩周りの凝りを生じてしまいます。身体を前に移動させる際には、顎を引いて行うとお腹に力が入りやすくなり、アーサナが安定しやすくなります。
内転筋が使えていない
先ほども説明しましたが、腕や胸で支えようとするほど腕に力が入ってすぐにバランスを崩してしまいます。バランスが崩れ始めると、腰、お腹、太ももが下がりやすくなります。
お腹を引き締めて尾骨を床の方に引き下げ、太ももを上に引き上げる意識を持つとバランスが取りやすくなります。その際、ただ太もも全体を上に引き上げようとするだけでは腕を使って踏ん張ってしまいますので、内転筋を使い、太ももを内側に回転させる意識を持つと身体を一直線に戻しやすくなります。
体幹が使えていない
このアーサナをとるとき、腰から反ってしまう方がいらっしゃいます。腹部が緩んでしまうと、それにつられて腰が反ってしまい、全身が弱い状態になってしまいまうのです。
このような状態は、坐骨が開き、骨盤帯が不安定になっている状態ですので、骨盤底を引き締めるように力を入れて腹部を引き上げると、腰が安定して強度が増します。骨盤底を引き締めるときは、お尻を強く締めるのではなく、会陰を締めるようにして行います。(ヨガでは「ムーラバンダ」と言います。)
これによって、内臓などが支えられ、お腹の中の圧力が調整されて骨盤の安定に繋がります。というのも、お尻の筋肉に力を入れると、太ももが外旋(外側に回る)しようとしてしまい、1つ前のミスアライメントにあるように、太ももを内旋できなくなってしまいます。これは、お尻を形作る筋肉である、大臀筋の働きによるものです。
ところが、お尻の筋肉ではなく、骨盤底の肛門周辺の筋肉に力を入れると、太ももの動きには影響が出ないはずです。つまり、お尻の筋肉と太ももの動きは関係性が強いということで、お尻の力が強すぎると、脚の動きにも影響してしまうということです。
そのため、アーサナを安定にとるためには、お尻ではなく、肛門、会陰の力を意識してとるようにすると不思議とうまくいくものです。このように、このアーサナは全身の繋がりを感じることができるアーサナですので、体幹が使えていないと全身でバランスが取りにくくなるのです。
ヨガポーズガイド:四肢で支える杖のポーズ(チャタランガダンダーサナ / チャトゥランガダンダーサナ)
太陽礼拝を深く学ぶ記事
太陽礼拝の基礎
以下の記事にて太陽礼拝を取り上げています。太陽礼拝の意味や効果から太陽礼拝のシークエンスの詳細まで。これを読めば太陽礼拝の全てがわかります。
太陽礼拝のアーサナを個別に解説
太陽礼拝に登場する各ポーズ一つ一つを詳しく解説しています。ポイントからありがちなミスアライメントまで、太陽礼拝を上達したいなら必ずチェック。ヨガ初心者の方はもちろん、ヨガインストラクターレベルの方にも役立つ内容です。