体調のサインは、普段の生活の中で何気に気づくもの。でも、身体の不調を感じた後に具体的に何すればいいのでしょう?アーユルヴェーダにおけるドーシャは、自分の体質を整える方向性を決める上で大切な役割をもっています。今日はアーユルヴェーダを理解する上で大切なドーシャについて説明します。
アーユルヴェーダやヨガの実践において、自分を知る、自分の体質を知る、ということはとても重要なことです。なぜ重要なのか、そして、アーユルヴェーダにおける「自分の体質(ドーシャ)」とは一体何なのでしょうか。
私たちは固有の“体質”を持っている
例えば風邪をひいた時、人によって最初の症状が違うのは、体質によって刺激される場所が異なるからです。また、人によって、体が大きかったり、水分が多かったり、熱を持っていたりと、それも体質です。
アーユルヴェーダでは、宇宙に存在する全てのものは、「空」「風」「火」「水」「地」の5要素から成り、目に見えるもの、見えないもの、全てがこれらのエネルギーの組み合わせでできていると考えます。さらに5要素の組み合わせから3つの体質に分けた、「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」を、“ドーシャ”と言い、3つ合わせて、“トリドーシャ”と言います。私たち含め、あらゆるものがトリドーシャ全てで構成されており、一人一人、どの要素が優位かなど割合の違いで、ヴァータ体質、ピッタ体質、カパ体質と、3つの体質に分かれています。
- ヴァータ/風と空のエネルギー
- ピッタン/火と水のエネルギー
- カパ/地と水のエネルギー
ドーシャは母親の胎内で生を受けた直後、つまり、精子と卵子が結合した時点でその生命のドーシャが決定します。つまり、先天性のものであり、さらに言えば、父親と母親のドーシャが精子と卵子の質になるということです。
日々の色々なことで、体質は変化しバランスを崩す
私たちはそれぞれ基本のドーシャを持ちながらも、日々、さまざまな事象によって少しずつその割合が変化しながら生活しています。事象とは、思考、時間、季節、年齢、環境などです。
本来はその人の生まれ持ったドーシャのバランスがベストバランスであり、それを維持できるように日々の食事の取り方や運動、ライフスタイルを見直し、整えることが、アーユルヴェーダの目的であるとしています。ドーシャがバランス良く働けば健康で、アンバランスになると病気の過程が進行するというわけです。
「飯盒」に学ぶ、ドーシャのバランス
では、ドーシャがバランス良く働いている状態とは、どういうことでしょうか。これはよく、お米を炊く「飯盒」に例えられています。
全ての要素がうまく働くと、美味しいお米が炊き上がる
ドーシャがバランス良く働いている状態とは、ちょうどよい風(ヴァータ)が吹いて、ちょうどよい火(ピッタ)がおき、ちょうどよい量の水(カパ)で、お米を炊いている状況です。すべてのバランスが取れた、“ちょうどよい状態”でお米を炊くと、おいしいお米が炊けて、さらにそれを食べるとちょうどよく消化され、栄養となり、元気で健康になります。
風が強すぎれば、まばらに炊き上がる…
一方、ドーシャがアンバランスな状態とは、例えば、風(ヴァータ)が強く吹くと炎がゆれ動き、火(ピッタ)が強くあたるところとあまりあたらないところができ、まばらに炊き上がってしまいます。
火が強すぎれば焦げてしまうし、水が多すぎれば半煮えに
或いは火(ピッタ)が強すぎると焦げてしまうし、水(カパ)が多すぎると半煮えになってしまう。そんな状態で炊きあがったお米を食べると、当然、未消化物(アーマ)ができます。
以前お伝えしたように、未消化物は、さまざまな病気のもととなり、思考や感情、人柄にも影響を及ぼします。つまり、ドーシャのバランスを整えるということは、消化力(アグニ)を上げるためにも、とても重要なことだと言えるのです。
ヨガで身体のサインを受け止め、自分でバランスを整える
生きている限り、体は老廃物を溜めがち。体を無視してヨガはできません。体調が思わしくないと感じる時は、ドーシャのバランスが崩れているサイン。ドーシャのバランスによるご自分の身体的、精神的な体質を知ることは、どのようなときに体調を崩しやすいのかを見極め、また、心身のバランスが崩れたときに、より適切な対処ができるようになるための知恵となります。また、自分を客観視できるきっかけともなるのです。
ご自分のドーシャに適した食材や食事法をとることで消化を促し、心と体の未消化物を清算していく。それこそが、心身ともに前向きに生きるための秘訣なのです。
次回は、自分のドーシャを知る上での質問などを掲載しますのでお楽しみに。
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