秋、空気が乾燥してくるこの季節は、喉や鼻の調子が悪くなり、風邪を引きやすくなります。空気の乾燥だけではなく、気温が低く、風が冷たくなってくるため、身体も冷えがち。便秘になる方も多いのでは?
実はこれらは中医学の観点から見ると必然的な症状なのです。
中医学に見る秋の季節 – 肺や腸の調子を崩しやすい
中医学では、秋は鼻や呼吸器、皮膚、肺や大腸に不調が現れやすい季節とされています。肺は呼吸を通じて、大腸は肛門からなど、どの臓器も外気に触れる器官であり、ウィルスに侵されやすいので何より注意が必要。また皮膚は、直接的に外気にさらされるだけではなく、大腸の不調からもコンディションが崩れやすいと考えられています。
便秘からガスが溜まり、溜まったガスがまた体内を巡り、なんとか皮膚から出ようとするので吹き出物が出やすくなる、という説は中医学の分野を超えて有名なお話ですよね。
食養生を考える上で理解しておきたい「五味」
中医学では、食物の味を5つ(五味)に分けています。これは、体の陰陽のバランスを食養生によって調節するという五行学説的に分類したもので、酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味(塩辛い)に分けられています。それぞれの五味は、体の五臓(肝、心、脾、肺、腎)と密接に関わって働きかけます。
そのため食養生では、五味の働きをうまく利用して、体質や体の不調を治していくわけです。
秋には「辛味」- 生姜や葱、葛や自然薯がオススメ!
肺や大腸、皮膚などに関係する秋は、「辛味」を取ると良いと言われています。
辛味は、解熱作用があり、気や血の巡りを良くします。呼吸器にも働きかけるため、風邪の初期症状である寒気や、くしゃみ、鼻水には、辛味のある生姜や葱がよく効く、というのはここから来ている説でもあるのかもしれません。ですが、辛味は取りすぎると身体が熱くなり、精気を消耗してしまいますのでほどほどに。
代表的な辛味食材は、生姜や葱の他、玉ねぎ、シソ、バジル、みょうが、にんにく、山椒、唐辛子、わさび、こしょう、シナモンなどです。
また腸には、いらないものを排出し、造血作用もある、葛や自然薯などもおすすめです。これらはとろみをつける片栗粉の代わりに使っても良いですね。消化力がしっかりしていれば、何を食べても大丈夫ですが、消化の働きを司る腸の調子が低下していると、健康へは程遠いですよね。
腸を考えるなら発酵食品をプラス!
自然薯などの他、腸の調子を整えてくれるものは、なんといっても発酵食品です。
発酵食品の代表格といえば、お味噌です。昔から、「1日一杯の味噌汁は病気知らず」や、「甘酒は飲む点滴」とも言われているように、日本の温暖湿潤気候にしか育たない菌である「麹」、日本の食卓に並ぶ「漬け物」、「納豆」、「イカの塩辛」、郷土料理の「鮒鮨」なども発酵食品。
ちなみに甘酒は、酒粕ではなく、米麹から作られている、ノンアルコールで、砂糖不使用の甘酒がおすすめです。
昔の日本人の知恵は現代の健康に通じている
また、粘膜を丈夫にし、咳や喉に良い蓮根もおすすめです。よく見ると、蓮根のあの形、気管支に似ていませんか?東洋では、「形が似ているものを食べると元気になる」とも言い伝えられているそうで、皮膚の調子が気になれば、お野菜を皮ごと食べるなども効果的と考えられています。
このように、昔からの日本人の知恵は、現代人の健康にもしっかりと繋がっているのです!
次回は、今回ご紹介した野菜や食材を使った具体的な献立をご紹介しますね。