マクロビオティックとは?玄米菜食が絶対というイメージがあるからか、偏った食事法と思われがち。しかし、しっかりとマクロビオティックの内容を確認していけばそれは誤解だとわかります。今回は、ここ日本で生まれたマクロビオティックのコンセプトを理解しながら本質を考えます。
近年、さまざまな分野でエコロジーやオーガニックが見直されると同時に、食の分野では、アーユルヴェーダやマクロビオティック、ベジタリアンやビーガン、スーパーフードなどの健康食、予防食が注目されています。TULAを見ている方も気になる方は多いと思います。
一部では、そのような健康志向が、「偏っている」、「宗教的」、或いは「女子力アピールでうざい」、、などとも言われる方もいます。今回はマクロビオティックを取り上げますが、実際に偏った食事法なのでしょうか?結果から先に言えばそんなことはありません。今回はマクロビオティックのコンセプトを理解しながら本質について考えます。
マクロビオティックの広がり
マクロビオティックは、もともと日本人が考えた食事法であると知っている人は多いと思います。石塚左玄(1851-1909)の食養法をベースに、桜沢如一(1893-1966)が陰陽無双原理を発展させた思想哲学と生活法(真生活法)をマクロビオティックと言います。また、1950年以降、米国でのマクロビオティックの普及において久司道夫氏の功績も忘れてはいけません。
マクロビオティックは日本よりも欧米で広まり、ハリウッドから逆輸入のような形で注目を浴び始めました。マドンナがマクロビオティックの専門性を持つ日本人女性をパーソナルシェフとして迎えていたこと。マイケル・ジャクソンがマクロビオティックのコックを伴ってツアーを回っていたこと。その他にもジョン・レノンやトム・クルーズ、シャロン・ストーンなど、ハリウッドスターや有名シンガーがマクロビオティックを取り入れていることは有名なお話ですよね。
マクロビオティックはルールが厳しい?
マクロビオティックというと、「玄米菜食」、「穀物菜食」、「菜食主義」「肉類は一切ダメ!」というイメージを持たれる方が多いようで、実際に私もその1人でした。
確かに、マクロビオティックでは、精白されていない穀物類、白米よりは玄米を推奨しています。しかし実際のところ、玄米をうまく消化できずに、身体に合わない人もいらっしゃいます。また、野菜をとることが推奨されているからといって、例えば「ほうれん草が身体にいい(らしい)」からと、ほうれん草ばかり食べていても栄養素は偏るばかりで、身体にとってはあまり嬉しくありませんよね。
語源から見るマクロビオティックのコンセプト
実はルールが厳しそうに思われるマクロビオティックの概念は、決してストイックではありません。
ある一定量の肉類、魚類も項目に挙げられています。あれがダメ、これがいい、ということではなく、もっと広い視野で、何をどのような分量で、どのように調理して食べるのかをポイントとしているのです。
マクロビオティック(※「マクロビオティック」はフランス語読みで、英語読みは、「マクロバイオティック」、「マクロバイオティクス」と言います。)の語源は、
- 「マクロ」が大きい、長い、
- 「ビオ」は生命、
- 「ティック」は術、学、
という意味で、「長く生きるための理論、方法」を意味しています。
マクロビオティックの本質はバランス、”中庸”にあり
また、マクロビオティックの考え方の1つに、食材を丸ごと使用するという、「一物全体」という言葉があります。一部分だけではなく、全体をみて判断する、取り入れる、という意味を持つことから、マクロビオティックとは、「大きく広い視野で、生命(世界)を見る。」とも解釈されています。つまり、「穀物菜食」や「健康食」、という解釈は、マクロビオティックのごく一部の要素であり、その本質は「もっと広い視野で、長く、日々健康に生きるための方法、手段」を提唱しているのです。
同じ食品でも、単一の視点から研究し、その結果をもとに健康に良いと推奨する学者もいれば、異議を唱える学者もいます。それは視点により見解は異なり、どちらも正しいことを言っているのですが、見ている私たちはその結果に左右されてしまいます。結局、全てのものには、メリット、デメリットがあり、立場や視点が違えば変わるのです。
一部分だけを切り取って判断するのではなく、総合的に考えていくこと。そして、自分の身体にあうものを見つけてバランスを保つことが大切だという考え方です。マクロビオティックではこれを“中庸”と言い、この中庸こそが本質なのです。
食事のバランスと私たち
ヨガを取り入れている方からすると、食事というとアーユルヴェーダを思い浮かべる方も多いと思います。しかし、中庸とは陰陽然り、儒教からきた考え方なのですが、”バランスをとる”というコンセプトは理解しやすいのではないでしょうか?
普段、私たちはヨガを通じて外と内との調和を図ります。特に私たちは日本人でもあるので、日本で生まれたマクロビオティックを知ることは、有意義なものと思います。個人的には多様性を受け入れ、様々な知恵を取り入れることで真に自分にあったものを探すことが一番大切だと思っています。