仕事や人間関係を遠ざけることは勇気がいります。しかし、ヨガの呼吸法でマインド、身体、思考、感情、仕事、そして自分を取り巻く変化し続けるすべての状況から、必要でないものを容易に見分けることができます。今回はシンプルな呼吸法からプラーナヤマを深める5種類のヨガ呼吸法とその効果を解説します。
シンプルなヨガの呼吸法でマインドの状態を整えよう
ヨガの呼吸法は「プラーナヤマ」と呼ばれ、サンスクリット語の「プラーナ」は「エネルギー」を意味します。プラーナヤマは、子どもでもできるシンプルなものから経験を積んだヨギに適したものまで、様々な手法があります。
呼吸法を日常生活のテクニックとして活用することで、私たちのマインドにあるノイズを軽減し、意識的にバランスやリラクゼーションを高めることができるなど大きな力になります。
今回はヨガの呼吸法の中から、覚えておきたい、いくつか呼吸法をご紹介します。
誰でも簡単に取り組めるヨガ呼吸法とその効果
ヨガの呼吸法には、シンプルでマインドの状態を変えるためにいつでも行うことができるものがあります。
例えば、ストレスや不安感を感じた時、安眠を促したい時、痛みを和らげたい時、集中力を上げたい時など、様々な場面でその効果を実感できます。
また、自分自身の内側とのつながりを感じることで、全身で深いリラクゼーションと幸福感の高まりを経験し、新たに物事に立ち向かう大きな強い力も湧いてくるでしょう。
まず、シンプルながらとても効果の高い2つの呼吸法とそのやり方をご紹介します。
1. 海の呼吸法
例えば、心を落ち着ける、”海の呼吸法”。私が実際に子ども達にヨガクラスで教えている呼吸法の一つ「海の呼吸」は、教室中に溢れた子ども達の高くなった(興奮状態に近い)エネルギーを瞬時に下げる効果があります。
海の呼吸法のやり方
方法はとてもシンプル。
- 鼻から息を吸って、
- 吐く息で口を開けながら
- 「ハアー」と海の波のような音を出します。
これを2.3回繰り返します。すると、、、「あ~なんか落ち着いた~(^v^)」といった声がよく聞こえてきます。こういったシンプルな呼吸法も十分に効果があります。
2. 吐く息を長くする呼吸法
他には、緊張緩和、不眠、睡眠障害、不安の軽減・改善に効果がある”吐く息を長くする呼吸法”。吐く息を楽に伸ばしていくシンプルなテクニックです。
吐く息を長くする呼吸法のやり方
- 吐く息が吸う息の倍の長さになるまで、
- 吐く息を徐々に長くしていきます。
この1:2呼吸法は神経系をリラックスさせます。安眠したいときなど就寝前に副交感神経をサポートするので、体とマインドへのストレスや、ストレスがもたらす影響を軽減するため、不安も和らぐことが期待できます。
少しずつ本格的なプラーナヤマも深めてみよう
プラーナは生命であり、エネルギーです。
プラーナヤマで全身の流れを阻むものを解放することで、エネルギーを自由に流し、生命力を高めます。習慣化されたプラーナヤマは心身への変化だけでなく、自分自身と深いところでつながり、結びつきを深めます。シンプルな呼吸法からプラーナヤマを意識した呼吸法に挑戦してみましょう。
3. シータリー
集中力を高め、動揺、怒り、不安を軽減し、体内システムの余分な熱を取ります。
どんな時に?
ストレスを感じている時、朝の眠気が取れない時、元気のない時、集中力を高めなくてはならない時。
シータリーのやり方
- 肩をリラックスし、背骨はまっすぐにして、楽な姿勢で座ります。
- あごを少し下げ、舌を縦に丸め、自然に出せるところまで突き出す。
- あごをゆっくり引き上げながら、舌を丸めて作ったストローから少しづつ息を吸う。
- 完全に息を吸いきったらあごを引き上げたまま口を閉じる。
- あごを下げながら鼻からゆっくりと息を吐く。
これを8〜12呼吸程、繰り返しましょう。
4. 片鼻の呼吸法、ナディショーダナ
ナディとはプラーナの通り管。気道。ショーダナは浄化の意味。普通の呼吸より多くの酸素を血液にもたらすので、気分を爽やかにし、精神が安定し落ち着き、神経系を整えます。
左鼻腔は月と副交感神経に関係し、いらいらを沈めてくれ、安定と心を落ち着ける効果があります。思慮、沈着と洞察、冷静さを与えてくれます。
右鼻腔は太陽と交感神経に関係し、代謝を活発にします。身体を温めると同時に心まで温めてくれ、希望と勇気と活力を与えてくれます。
どんな時に?
朝、浄化呼吸法としてはもっとも簡単ですが、もっとも効果の高い呼吸法。血液、リンパ、気の流れの経絡、養分などを流れやすくする効果があります。毎日、取り組むことで徐々に効果を高めましょう。
片鼻の呼吸法(ナディショーダナ)のやり方
- 鼻呼吸だけで行う。
- 右の親指で右鼻を閉じ、人差し指と中指を内側に曲げる。
- 左鼻を閉じるときは薬指で左鼻を押さえる。
左鼻吐く8カウント→左鼻吸う4カウント→(鼻を閉じ息を止める16カウント)→右鼻吐く8カウント→右鼻吸う4カウント→(鼻を閉じて息を止める16カウント)→左右交互に実施し、これで1回。3~8回繰り返します。
※伝統的なナディーショーダナでは止息をいれますが、初心者はまず吸息と吐息だけにします。
5. ウジャイ
「ウジャイー」=力の支配という意味。呼吸機能が高まり、内臓を活性化させる「勝利の呼吸法」とも呼ばれます。神経系と消化器官系を強化し、痰を切る効果があるとも。内臓系の器官の活性化、感情をコントロールする。
方法
- 胸式呼吸で行う
- お腹をへこませたまま「スゥー」と音がするように
- 鼻から入った空気が通るノドの奥の気管を細くする。
その際、吸う息と吐く息の量を等しくすることで自律神経の働きが整います。
ウジャイ呼吸法は、こちらで詳細な方法を取り上げています。
詳細:喉奥を鳴らして呼吸する? ウジャイ呼吸法でエネルギーを満たそう
プラーナヤマは人生に深い影響をもたらす
プラーナヤマは、マインド、身体、思考、感情、仕事、そして自分を取り巻く変化し続けるすべての状況から、必要でないものを容易に見分けることができる力となります。これらを識別できるようになれば、苦しみが軽減され、よりよい幸せな人生へと私たちを導いてくれることでしょう。
今回、紹介したヨガの呼吸法はほんの一部ですが、あなたのマインドから不要なものを取り除き、静寂をもたらすうえで大切な呼吸法です。シンプルな呼吸法でも十分ですが、ぜひ、ヨガの本質でもあるプラーナヤマを意識した呼吸法に挑戦してみてください。繰り返し練習することで呼吸法のテクニックは向上し、人生を進む上で大きな力となってくれるでしょう。
ヨガの呼吸法についてもっと詳しく
TULAでは以下の記事でヨガの呼吸法について取り上げています。本記事とともに以下をご覧いただくことでヨガの呼吸法をもっと理解いただけると思いますので是非ご一読ください。
ヨガ呼吸法の効果
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