ポーズ(アーサナ)

姿勢改善に効くヨガポーズ – 姿勢を正してマインドをポジティブに

姿勢が良ければ前向きになるとよく聞きますがそれは本当でしょうか?私たちの脳と脊柱、神経経路を知ると心と身体が密接につながっていることがわかります。今回は姿勢が及ぼすマインドへの影響と姿勢改善に効果的なヨガポーズを紹介します。

なんらかの悩みを抱えていたり、ストレスを抱えている、またはネガティブな思考の人は、姿勢が悪い?また、例えば気落ちしている人は猫背などを想像させますし、反対に自信に満ち溢れていて充実した毎日を送っている人は背筋がピンと伸びた状態を想像させます。

姿勢が整っている人は魅力的

「姿勢美人」という言葉も最近は聞くようになりました。姿勢が整っている女性はスタイルもよく見えますし、立ち振る舞いから”自信”が伺えます。また、姿勢が良いことで、いくつになってもファッションに前向きになれたり、年齢や容姿に関係なく、生きる目標を持ち、充足した人生を送っているという印象を人に与えます。

男性にとっても姿勢は大切です。デキる男性ビジネスパーソンと言われる人は、印象が良いはずです。商談はもちろんのこと、転職時の面接などの場面で、第一印象の良さや立ち姿が成功を約束するとまではいかなくとも、話を円滑に進める上で役立つに違いありません。

私たちの心と身体はつながっている

これらは私たちの偏見や錯覚なのでしょうか?
いえ、私たちのこのような感覚はあながち間違いではありません。姿勢は私たちの健康に大きな影響を及ぼすだけでなく、心も左右するのです。

人間の骨格は、脳を支える頭蓋骨を頂上に脊柱が柱となり支えています。そして脊柱は骨盤まで伸び、私たちの臓器を重力に逆らって支えているのです。また、骨格は筋肉とつながり、さらに脊髄を介して脳の神経とも繋がっています。脊柱に沿って張り巡らされた神経の一つは脳脊髄神経。60兆個もある身体の細胞一つ一つを働かせるために脳が発する命令を伝達しています。また、同様に自律神経も脊柱を通じて私たちの体中に張り巡らされています。

姿勢が悪ければ、骨盤の歪み、脊柱のねじれを生じさせ、筋肉が緊張状態になることで、脳脊髄神経や自律神経の神経伝達が阻害されるわけです。※1

姿勢不良が肩こりや腰痛を生み、マインドもネガティブに

こうした身体の構造と神経経路を知ることで姿勢不良が慢性的な頭痛、肩こり腰痛。そして、なんとなくの身体の不調を生んでいることがわかります。また、自律神経の神経伝達が阻害されることで、セロトニンとノルアドレリン、ドーパミンの分泌のバランスも崩れ、自律神経失調症やうつ病といった多くの精神疾患も起こるわけです。

つまり、姿勢は身体的な不調だけでなく、マインドにも影響を及ぼすのです。


参考記事:


姿勢を悪くするオフィスワーカー、3つの習慣

姿勢の大切さを改めて理解したところで、私たちの日常に潜む姿勢が悪くなる習慣についても知っておきましょう。

1. 足を組んで座る

無意識に足を組んで座る女性や男性は、実に多いと思います。改善するには原則的には足を組んで座らないことです。足を組んでいることに気付いたらすぐにやめましょう。

2. 猫背

特にデスクワークの時に注意しましょう。意識的に腰を深く座り、背もたれは使わないことが望ましいです。また、PCの画面が低かったりすると、目線が下に向くのと同時に猫背になりがちです。PCの画面を目線と同じ高さまであげることでかなり改善されます。

3. 肩掛けのトートや片手持ちのブリーフケース

人間の体は重力に逆らって立っています。どちらかに重さが偏ることで反対側に重心を移動します。このような反動も姿勢が悪く原因です。原則的に肩掛けトートバッグ、ブリーフケースなどは避けましょう。望ましいのはバックパックです。

しかし、全員がバックパックを背負うというのも現実的でありませんね。片方に重心が移動するバッグなどを持つ場合には、こまめに左右を入れ替えることで調整していきましょう。

上記に見られるように、基本的には重心が左右、または前後に偏る状態が長く続くことが姿勢不良の原因となります。このほか、両足を片方に揃えて座るなど、特に女性は注意したほうがいいでしょう。

本当は高いヒールのパンプスなどもよくありませんが、女性にヒールを一切履くなというのも、これもまた現実的ではありません。

大切なのはこのような習慣をできる限り減らしていくと同時に、自ら気軽に姿勢を矯正、調整できる方法を普段から実践することです。

初心者でもできる、姿勢改善のためのヨガポーズ

簡単に、いつでも実践できる姿勢矯正のテクニックとして、ヨガが効果を発揮します。

ヨガは脊柱を軸とした姿勢を正し、呼吸法を整え、効果的に瞑想するためのものであり、姿勢を矯正するためにポーズをとると言っても過言ではありません。そのため、ヨガには脊椎や背骨、骨盤まで。そして背骨につながる周辺の筋肉全般を調整することを目的として考えられたヨガポーズが数多くあります。

今日はヨガ初心者でも比較的簡単に実践できるヨガポーズをご紹介しておきます。

1. キャット & カウ

両手・両膝を地面につけ、前屈のマールジャーラアーサナ (猫のポーズ)と後屈のビティラーサナ (牛のポーズ)を交互に繰り返します。お気付きの方もいるかもしれませんが、初心者向けヨガクラスでは頻繁に取られているヴィンヤサで、背骨や首のストレッチ、腹部に対してマッサージを行います。また、同時に自律神経を整える上でも効果的とされています。

細かな注意点はありますが、このポーズを行う上で筋力や柔軟性はそれほど求められませんし、ご自宅で実践できますので毎日の習慣として取り入れてみてください。

  1. 肩の真下に手首、腰の真下に膝がくるように四つ這いになる。足の甲は寝かせる。
  2. 息を吐きながら尾骨を下に向けて背中を丸め、目線をおへそに向ける。
  3. 息を吸いながら背中をしならせ、胸を開いて顔を正面へ。
  4. 何度か繰り返し、四つん這いに戻る。

ヨガポーズガイドキャット&カウ


2. 太陽礼拝から3つのアーサナ

太陽礼拝を普段から頻繁に行う方であれば、次の3つのアーサナは、特に背中や背骨を意識しやすいと言えるでしょう。

A) タダーサナ(山のポーズ)

ただ、その場で立ってるだけと思われるかもしれませんが、全てのヨガポーズの基本であり土台となるターダーサナは奥が深いポーズです。

揺るぎない偉容でそびえる山のように、すっくとしっかりと立つことが求められる山のポーズです。立ちポーズの基本で、各々の立ちポーズは、手の平を腿の側面に下げたターダーサナの形で始まります。

  1. 足を揃えて立つ。腰や膝を痛めている方は、踵と親指を結ぶ2本の線が平行になるように両足を開く。母指球、小指球、踵の両端の、計4点と足の指を全て床にぴったりとつけ、体重が足裏全体に均等に乗るようにする。
  2. 内腿の筋肉を伸ばしあげるようにすると、膝をリラックスしたままで引き上げることができる。踵の真上に膝、膝の真上に腰が来るようにする。
  3. 尾骨を下げ、お腹を引き入れて骨盤を真正面に向ける。背筋を上に伸ばし、首をまっすぐにする。
  4. 肩を後ろに回してストンと落とし、耳と肩の距離を開いて肩の力を抜く。
  5. 頭頂から引っ張られているように、顎を引いて首の後ろをのばす。


B) ウールドゥヴァハスターサナ(手を上に上げるポーズ)

手を上にあげるポーズ(ウールドゥヴァハスターサナ)は、ターダーサナを基本として、胸を広げ、両腕を頭上にあげるポーズです。このポーズは体全体の姿勢を整え、体幹を強化すると言われています。

  1. ターダーサナの姿勢で立つ。
  2. 息を吸いながら両手を頭上に上げる。手のひらを合わせても良い。
  3. 耳と肩を離す。腹部に力を入れる。尾骨を下げる。両足に均等に体重をかける。
  4. 息を吸って背筋を伸ばし、吐きながら両手を元の位置に戻す。


C) アルダ ウッタナーサナ(半分の立位前屈)

半分の立位前屈(アルダ ウッタナーサナ)は、インバージョンポーズの一つとして、内臓を逆さにすることで胃痛を静め、肝臓、脾臓、腎臓の調子を整えると言われています。

  1. タダーサナのポーズで立つ。
  2. 息を吐きながら前屈し、手の平を床につける。この状態で手を両足の横へ、さらにかかとの後ろへと順次移動させる。この間できる限り膝を曲げない。
  3. 頭を持ち上げ、背骨を伸ばす。尻をわずかに頭の方へと移動させ、足が床と垂直になるようにする。呼吸を繰り返す。
  4. 息を吐きながら状態を足に近づけ、頭を膝につける。膝を曲げない。内腿を引き上げるようにして膝頭を引き締める。深く呼吸をする。


太陽礼拝は姿勢を整える上でも効果的です。次に太陽礼拝を行う際は是非とも姿勢矯正を意識してみてください。

その他、ダンダーサナ (杖のポーズ)シャラバーサナ (バッタのポーズ)なども効果的です。ダンダーサナは見た目のシンプルさとは裏腹に正しいアライメントをとるのは難しく、またシャラバーサナは体幹の強さが求められます。

そのため、経験豊富なヨガインストラクターの方にアドバイスを受けることをお勧めします。

姿勢を正せばポジティブになれる

私たちは、外的な環境や事象に影響を受けます。物理的に姿勢が悪い状態が長い間続くと、自律神経を通じて精神的な影響を及ぼします。その逆もまた然り。互いに作用しあっているのです。もし、自分のネガティブな思いに気づいたら、それを受け止めながらも紹介したヨガポーズをとってみてください。

姿勢を正せばエネルギーが湧いてきます。マインドもポジティブになり、前向きになれます。

Yu Staff

最初はサーフィンのために始めたヨガですが、ヨガから、ワークアウトや食事、呼吸法、瞑想など、もっぱら人間の脳、身体と心の繋がりへの興味が尽きない。最近はビジネス書よりもこれらをテーマにしたノンフィクションばかり読んでいます。