太陽礼拝のウッターナーサナ。ポーズ(アーサナ)の形からどうしても柔軟性が重視されがちです。しかし、もっと大切にしてほしいのが、坐骨と股関節。いくつかあるミスアライメントの中でも特に気をつけたいポイントです。ここができているか、できていないかで効果が変わります!
太陽礼拝Aに含まれるアーサナは全部で8種類。
今回は、3つ目の「ウッターナーサナ」。前回に引き続きチャック先生に起こりやすいミスアライメントをお聞きします。
「ウッターナアーサナ」は、学生時代の体育の時間や、運動能力テストなどでもとられるポーズ(アーサナ)なので、何度かやってみたことがある方はいらっしゃると思います。このアーサナは、特に男性は苦手だと思われる方が多いと思います。ところが、この「ウッターナアーサナ」は、身体の柔軟性よりもまず優先したいポイントがあります。
そのポイントを、このアーサナをとる際に起こりやすいミスアライメントと共に見ていきます。
この中から、身体の柔軟性よりも優先したいポイントとして、1と2のミスアライメントについてご紹介します。
坐骨はどこにあるのかご存じでしょうか。簡単に言うと、坐骨は骨盤の下にあり、腸骨、恥骨とともに腰帯を構成しています。まずはご自身の坐骨の位置を確かめるための簡単な方法をご紹介しましょう。
椅子に浅く座り、身体を左右に細かく動かしてみること。すると、左右のお尻の下にゴリゴリと、大きな硬い骨を感じると思います。または、お尻の下に手のひらを敷くと、同じく左右のお尻の下にゴリゴリと硬い骨を感じられると思います。それらの左右にある硬くてゴリゴリとした2つの骨が「坐骨」です。
「坐骨」はヨガを行う際によく出てくる骨ですので、意識することが必要です。是非ご自身で確かめてみてください。
もし上記の方法をしても坐骨がわかりにくい場合は、もしかしたら骨盤が後傾しているのかもしれません。その場合は、骨盤を立たせるようにして、おへそを前に突き出すようなイメージで背筋を伸ばしてみてください。このとき、逆におへそが前に出すぎると、今度は腰を反りすぎてしまいますで、背筋を伸ばしたら、お腹は内側に引き入れるように意識してください。
さて、本題の「ウッターナアーサナ」のミスアライメントに戻ります。
について、坐骨が落ちているか、落ちていないかとはつまり、坐骨が“立っているかどうか(イメージさせるための表現です。)”、とも言える状態なのですが、もう少しわかりやすい表現をすると、前屈をしたときに、先ほど座って確認したゴリゴリとした坐骨が、太腿の後方ではなく空に向くようにぐっと持ち上げられているか、ということです。
これは、前屈した状態で、お尻をわずかに前方(頭)の方へと移動させて、脚が床と垂直になるようにした状態です。
一番上の、正しくとれている「ウッターナアーサナ」の写真と、上部のミスアライメントの写真の“脚” を見比べてみてください。正しくとれている「ウッターナアーサナ」の脚は、床に対して垂直に伸びています。
感覚を掴むまでは、ヨガインストラクターにアジャスト(調整、調節)してもらうことが一番ですが、坐骨が落ちているかいないかだけで、このアーサナの意味や効果が随分変わってきますので、是非意識したいポイントです。
前屈をする際、どこから屈曲されていますか?皆さん、腰やウエストあたり、背中の下部などから屈曲されている方が多くいらっしゃいます。
ところが、ヨガにおける前屈の定義は、
となっています。
たとえ前屈のつもりでも、首や背中だけが曲がっていたり、ウエストのくぼみや腰椎から屈曲している状態は、前屈とは言い難いのです。間違ったところから前屈のアーサナを長くとり続けると、腰や背中の痛みを引き起こしかねません。
このアーサナは、完全な柔軟性よりもまず大事にしたいポイントは、1.の「坐骨が落ちないこと」と、2.の「股関節からの完全な屈曲」なのです。このアーサナを見た瞬間、「脚がピンと伸びていて、手のひらは完全に床についていること」が、“正しい”、“美しい”、“すごい!”ものなのだと思われがち。
しかし、まず優先したいポイントが「股関節からの屈曲」ですので、例え膝が曲がっていても大丈夫。
無理に手のひらを床に着こうとしなくても良いのです。
また、「股関節からの屈曲」については、「膝を伸ばすことよりも、“胸を太腿につけることが優先だ”」と伝えるインストラクターもいらっしゃいます。確かに股関節から屈曲すると胸が太腿につきますよね。しかし、先に「“なぜ” 胸を太腿につけることが優先なのか、“なぜ” 胸が太腿につくのか」という説明が失念してしまうと、ウエストから前屈し膝は曲がり、ただ胸を太腿につけるだけの“ポーズ”に陥ってしまいます。
これでは何のためのアーサナなのか、どこに効いているアーサナなのかが感じられにくくなるので要注意です。
以上のポイントからわかるように、たとえ身体が硬くてもこのアーサナを正しくとることができます。まずは坐骨と股関節を意識してみてくださいね。坐骨が上がり、股関節からの屈曲ができるようになれば、徐々に膝が伸び、手のひらも床に着くようになっていきます。
最終的にその状態になると、よりこのアーサナの効果も感じられやすくなりますので、まずは身体の柔軟性は気になさらず、上記のポイントを意識して練習を始めてみてくださいね。
ヨガポーズガイド:深い前屈のポーズ / 立位前屈(ウッターナーサナ)
以下の記事にて太陽礼拝を取り上げています。太陽礼拝の意味や効果から太陽礼拝のシークエンスの詳細まで。これを読めば太陽礼拝の全てがわかります。
太陽礼拝に登場する各ポーズ一つ一つを詳しく解説しています。ポイントからありがちなミスアライメントまで、太陽礼拝を上達したいなら必ずチェック。ヨガ初心者の方はもちろん、ヨガインストラクターレベルの方にも役立つ内容です。
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