ヨガ

ヨガの聖地 リシケシへの旅 – #3 プージャで自我を手放し無償の愛を

ヨガの聖地 リシケシでヨガを深く学ぶ旅。いよいよプージャが執り行われます。プージャでは、自我を浄化し、無償の愛を受け取る、その過程にヨガの真の意味を再確認。これから本格的な学びが始まります。

そしていよいよインド政府公認のヨガインストラクター講座が始まります。

その始まりは、プージャで神様へお祈りをすること。数日間のヨガの学びの前にプージャを行うことで、私たちがより深い学びや正しい知識と知性を得て、純粋な感謝と愛を持ってこれからシェアしていけるようにと、祈りを捧げます。

インドの伝統的な礼拝、プージャ

プージャ(puja)とはヒンドゥー教のお祈り、インドの伝統的な神様への礼拝の一つ。インドにはさまざまな神様がいるため、プージャのやり方も目的もさまざま。

家やお店で行われる日常のプージャや、特別なときに行われる寺院でのプージャ、例年のお祭りの際のプージャ、赤ちゃんの誕生や、結婚式などのお祝いの日に行われるプージャなど、インドでは頻繁に行われているようです。

しかし、ヒンドゥー教徒であっても、日常的に頻繁に行う人や、周期的に行う人、ときどき行う人など、頻度はさまざまな様。いくつかの寺院では、いろいろなパターンのプージャを一日何回か行っているようですが、特別なときにしか行わない寺院もあると聞きます。

プージャを執り行える者は、インドのアシュラムの独身修行僧の中から、タイミングやマントラ、それらの方法などプージャについての学びを受けた専門の修行僧・聖者が執り行えます。

プージャの究極の目的は、「神との合一」

ヨガの最終目的であるサマーディにも似たプージャの目的、「神との合一」とは、最終的に自我を捨てること。そして、目に見えないものを神様から受け取るということ。

プージャを行う過程で、私たちは神様に対してさまざまな捧げものをします。火を起こし、マントラを唱えながら肥料や生花、フルーツやお菓子などを捧げていきます。それらは全て、目に見えるものです。

 

全ての目に見えるものを捧げ終えたら、次に、arati / aarati(アラティ / アーラティ)という、ロウソクに火を灯し、火の灯りを神様に捧げる行為をします。

アラティで自我を浄化し、愛を受け取る

arati / aarati(アラティ / アーラティ)とは、プージャの際にマントラをチャンティング(唱えること)しながら揺り動かされる光、神様に捧げる灯り、炎なのですが、”精神の光” というような意味を持ち、浄化の光を意味します。

闇を照らす光であり、太陽光線や月明かり、炎、のように、心に神々しい光を照らし、その心を明るくして、心の闇である、執着や自我を取り除くとされています。

aratiの段階での最終的な捧げものは、“自分自身”。つまり、“自我” です。今ここにいるのは、「わたし」でも「あなた」でもなく、そして全ての目に見えるものは、「わたしのもの」でも「あなたのもの」でもない。

私たちは皆、分け隔てなく一つであるということ。神様に自我を捧げて浄化し、ロウソクの灯りを通して、神様からは、目に見えない無償の愛を受け取る。つまり、これが「神との合一」です。

また自己・自我の浄化をすることは、忙しい心を沈めマインドの集中を高めることにもつながっています。そして、マインドの集中はサマーディに向かう大きな助けとなるのです。

ヴェーダ聖典の占星学によると、“カルマ” について、過去生での悪い行為は全て記憶され、生まれたときの星の配置によって、現生や未来生で宿命となって現れると言います。

インドにはカースト制という厳しい身分制度があったことも関係し、その悪い行為からくる現生の宿命や、どうしても変えられない身分を神様に祈りを捧げ、マントラを心を込めて唱え、正しい行いや、他者への愛や思いやりを持った行為などによって人生の改善を試みていました。

このように、自我を捧げるという難しい境地まで達していなくとも、日常の願いをプージャに込める人もいるのだと聞きます。

プージャが終わった後は、神様へ捧げたさまざまなフルーツやお菓子を分け合い、いただきます。そして、これから深い学びを得られることに感謝をし、ここへお招きいただいた証に、花の首輪をかけていただきました。

プージャで感じた大切なこと

プージャの工程を終えるのにどれくらいの時間がかかったのか、はっきりと覚えていません。しかし、一つのアラティの灯りを次の人へ次の人へと渡しながら、皆が丁寧にアラティを行い、今回のプージャが全て終わるまで、おおよそ2〜3時間ほどだったかと思います。

私はプージャを行いながら、最終的なプージャの目的である「自我や執着を手放し、神様へ捧げること」によって、真の心の平安や物質からではない真の豊かさを得るということ。

このことこそが、より深い学び、知識と知性、無償の愛や思いやりを得ることができ、それらを惜しみなくシェアできるのだと感じ、ヨガインストラクターになるためにはとても大切な行為だと感じました。

プージャのあとは皆で街を歩き、ご飯を食べに行きました。
インド料理は美味しいものばかり!しかも胃にもたれないお料理ばかり。絶妙なバランスで使われる数々のスパイス。マントラを唱えながら作られることもあるのだとか。身体に優しいはずです。

次回はもう少し足を伸ばして、橋を渡った先の街並みをご紹介します。

早坂 理恵

早坂理恵 | Rie Hayasaka / Mangala Arati。女優。8歳でデビュー。演技の勉強を始めて間も無く、NHK朝の連続テレビ小説のキャストに選ばれる。18歳で上京し数々の現場で経験を積む中、持病である心臓の病と比較的新しい「脳脊髄液減少症」を発症。芸能活動を休止。現在、復帰したものの今もなお治療中。プライベートではヨガをライフワークとし、水素美容分野での活動(「水素美容のひみつ」著者)。全米ヨガアライアンス RYT500, RPYT(マタニティヨガ), RCYT(キッズ), シニアヨガインストラクター / アシュタンガヨガインストラクター / フィジカルトレーニングインストラクター / Yoga Ed. PI1・PI2修了 Yoga Ed. エデュケーター / 国際食学士 / マクロビオティックセラピスト / アーユルヴェーダベーシック / アンチエイジングアドバイザー / 健康美肌指導士 / 美肌食マイスター など複数の資格を有すなど、心と身体の真の健康をテーマに活動を行っている。