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ヨガで腰痛知らずの体に – 腰痛におすすめのヨガポーズ5選

腰痛が悩みという女性そして男性は多いでしょう。国民生活基礎調査で自覚症状として女性は2位、男性においては1位となった腰痛は、その原因の8割は不明であることをご存知でしたか?ストレスや生活習慣が複雑に影響しあって起こる腰痛ですが、ヨガで解決できる可能性があります。今回は腰痛の原因を確かめ、腰痛予防・改善におすすめのヨガポーズをご紹介します。

腰痛は肩こりと並ぶ国民病

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前回、肩こり改善のためのヨガポーズに関して記事にしましたが、今回は腰痛です。厚生労働省の平成28年国民生活基礎調査 気になる自覚症状によると、男性の第1位は腰痛、第2位は肩こり、女性では第1位は肩こり、第2位は腰痛と、まさに腰痛は肩こりと並ぶ国民病と言えるのです。

腰痛は、脊柱の内、腰にある5つの腰椎が、またはその周辺が痛む症状の総称です。実際に腰椎を直接障害して発生する痛みのほか、腰椎周辺の神経が様々な要因で刺激されることで痛みを感じるものに大別されます。

腰痛の8割以上は原因不明

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腰痛の原因は実に様々。腰椎を直接障害する腰痛は、腰部脊柱管狭窄、腰椎椎間板 ヘルニアに加えて、坐骨神経を圧迫して腰だけでなく、手足のしびれを伴う坐骨神経痛なども原因になります。そのほか、がんが骨に転移することで痛む場合もあり、腰痛を甘くみてはいけません。

腰椎を直接障害しない痛みには、消化器系や泌尿器系の病気、子宮筋腫など婦人科系の病気などが原因となり腰椎周辺の神経を圧迫・障害することで発生するものもあります。

しかし、上記の原因で発生する腰痛は全体の15%程度しかないと言われています。85%の腰痛は原因が特定できていないのです。

なお、腰痛の原因が、上記のどれかに該当する場合にはヨガは全く効果はありません。むしろヨガをすることでこれらの症状を悪化させてしまう場合がありますので絶対にNGです。腰痛を感じたら、お医者さんに相談することが必要です。まずは、上記の病気ではないかまず確認しましょう。

原因が不明の腰痛とは?

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そして、レントゲン等画像検査をしても原因がわからない腰痛は、ストレス等の心理的影響、肩こりと同様に同じ姿勢を保った状態を長時間維持すること、運動不足、肥満等の身体的影響、そして神経の障害が関係していると言われています。

慢性的なストレスの長期化は、脳のシステムが正しく機能しなくなり、神経過敏になることで痛みを感じやすくなります。また、ストレスが交感神経と副交感神経からなる自律神経のバランスを乱す原因となることはよく知られていますが、自律神経の乱れと腰痛との関係も多くの指摘があります。

また、肩こりと同様に、姿勢不良や運動不足が腰周りの筋肉の緊張を生み、血行不良を引き起こし、痛みを発するのです。


もっと詳しく:ストレスに負けない心と身体をつくる4つの習慣

ストレスが体と心に与える影響について詳しく記載しています。


ヨガで腰痛の悪循環を抜け出す

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ストレスが長期化すれば、腰に異常を感じると誰でも倦怠感から運動が億劫になりますよね。それでも仕事はやめられません。通勤時のトートバック等の肩掛けバッグや長時間のデスクワークは、姿勢に歪みを生じさせ、それが血行不良を生む。さらに筋肉が緊張し、それがまたストレスとなり自律神経が乱れる。

こんな悪循環が、腰痛を慢性化させ、国民病と呼ばれるまでに拡大した社会的・心理的背景なのかもしれません。しかし、これらの悪循環を断ち切る上で、素晴らしい解決策となるのがヨガです。腰痛改善の直接的な効果が期待できます。

ヨガの効果は、ストレス緩和・解消に効果的であることは科学的に実証されています。ヨガポーズのストレッチ効果、姿勢矯正効果で姿勢不良を正し、筋肉の緊張を緩和させ、関節の可動域を拡大させることができます。

またヨガ呼吸法は自律神経の乱れを解消するのに効果的であることも多くの実験で報告されています。ヨガを習慣化することで腰痛知らずの心身をつくることができるのです。


もっと詳しく:自律神経の乱れをリセット – 8つのヨガ呼吸法とポーズでセルフケア

自律神経の不調を改善するためのヨガポーズを解説しています。


腰痛予防・改善のためのおすすめヨガポーズ

腰痛にならないためには、腰回りだけでなく背中全体と、骨盤周辺の股関節などの可動域を高め、筋肉の緊張を緩和することがポイント。腰痛になりにくい体を手に入れ、普段からポーズをとりながらヨガ呼吸法を意識することで、自律神経を整える術を手に入れます。

今日は数あるヨガポーズの中から腰痛の対策となる、おすすめヨガポーズを5つご紹介します。ポーズをとるときは、深い呼吸を忘れずに、時間をかけゆっくりと行いましょう。

なお、以下のポーズを実践する際、ヨガ経験が浅い人は、決して無理をしないこと。時としてポーズをとる際、痛いと感じながらもう少し頑張ろうと無理をしがちですが、これは逆効果で、反対に腰を痛めてしまう可能性もあります。

ポーズは心地よい範囲で止めておくこと。ゆっくりと取り組むことで徐々に柔軟性が高まりますので、焦らず、やっていきましょう。

1. こどものポーズ(バーラーサナ)

こどものポーズ / チャイルドポーズ(バーラーサナ)は、太ももに体重を置き、尾骨を骨盤の後ろから引き離し、上体も骨盤から伸展させて、背中全体にわたり伸びをします。まず姿勢を意識できるポーズから始めましょう。

また、比較的に簡単な上、リラックスを感じやすいポーズですから、以下で紹介する各ポーズの間にこどものポーズを挟むこともオススメです。

  1. 足の指を重ねない正座をする。
  2. 背筋を上に伸ばす。
  3. 息を吐きながら上体を骨盤から前に倒し、心臓を膝寄りの腿の上に乗せ、額を床に付ける。
  4. 腕を脇から後方に伸ばし、指は軽く曲げたまま、手の甲を床に付ける。
  5. 肘は完全に力を抜く。首の緊張は全て解きほぐす。腰は力を抜き、柔らかく保つ。

ポーズのとり方詳細:こどものポーズ(バーラーサナ)


2. バッタのポーズ(シャラバーサナ)

バッタのポーズ(シャラバーサナ)は、消化機能を改善し、胃の調子、お腹の張りを治すと言われています。身体に対しては背骨を後方へ反らすことで背骨が柔軟になるだけでなく、仙椎、腰椎周辺の痛みを取り除きます。

  1. うつ伏せになる。手のひらを上にして、手を後方に伸ばす。
  2. 息を吐くと同時に、頭、胸を持ち上げ、同時に足をできるだけ高く上げる。
  3. 手も肋骨も床から離し、腹部のみ床につけて、身体全体を支える。
  4. 臀部を締め、腿をしっかり伸ばす。両腿はお互いにつけて、両足をまっすぐに、十分伸展する。
  5. 手に体重をかけない。肩、手を後方に伸ばすと、背筋はさらに伸びる。
  6. 腹筋が強くなるにつれてやりやすくる。

ポーズのとりかた詳細:バッタのポーズ(シャラバーサナ)


3. 上向きの顔の犬のポーズ(ウールドゥヴァムカシュヴァーナーサナ)

上向きの顔の犬のポーズ(ウールドゥヴァムカシュヴァーナーサナ)は、背骨を鍛えるのに効果的です。背中の痛みが取り除かれる上、胸が広がるのでストレッチ効果が高く、肺の弾力性が増すと言われています。

なお、腰椎から後屈すると思われがちなポーズですが、それだと反対に腰を痛める可能性があります。胸椎も使い、背骨全体を使うことで負担を分散させながらアーサナをとることがこのポーズの重要なポイントです。

詳しくは、「太陽礼拝レベルアップ!ウルドヴァムカシュバーナーサナのミスアライメント」を参照し、正しいアーサナのやり方をしっかりと確認しましょう。

  1. うつ伏せになる。両足を腰幅に開き、足の甲をつけて足全体をまっすぐ伸ばす。
  2. 両手を横の床におく。手の指先は前方に向けておく。
  3. 息を吸いながら頭と上体を持ち上げ、腕をまっすぐ伸ばして頭と上体をできるだけ後ろにそらす。
  4. 背骨、腿、ふくらはぎを十分に伸ばし、また、臀部をかたく締める。
  5. 胸を前方に押し出し、首を十分に伸ばしてから、頭をできるだけ後ろへそらす。
  6. 手のひらで床を押すようにして、腕も十分に伸ばしていること。
  7. キープしながら深呼吸を繰り返し、ポーズを深めます。

ポーズのとり方詳細:上向きの顔の犬のポーズ(ウールドゥヴァムカシュヴァーナーサナ)


4. 半分のマッチェンドラのポーズⅠ(アルダマッツェーンドラーサナⅠ)

半分のマッチェンドラのポーズⅠ(アルダマッツェーンドラーサナⅠ)は、背中の痛み、腰痛、尻の痛みを取り除くのに役立つと言われています。深いストレッチで肩、腰、首の可動性が増し、お腹を縮めることで上半身全体の不調を改善します。

  1. 両足を前に伸ばして座る。左膝を曲げ、腿の裏側とふくらはぎを合わせる。
  2. 左足を右の臀部に近づける。左足のかかとを右の坐骨のすぐ前におく。
  3. 右脚を上げ、左腿の向こう側に渡し、右足を左膝のそばの床につく。
  4. 右手の指先を床につけたまま息を吸って左腕を上に伸ばし、指先までピンと張る。
  5. 息を吐きながら腹部と胸部を右にねじる。
  6. 左の脇の下を出来るだけ膝に近づけ、背筋の伸びをキープ。左腕をまっすぐ伸ばし、右脚のつま先に手をおく。
  7. 右腕は背中をくるむように腰に添わせる。右肩の先を見つめる。呼吸を繰り返す。

ポーズのとり方詳細:半分のマッチェンドラのポーズⅠ(アルダマッツェーンドラーサナⅠ)


5. 腹部のねじりのポーズ(ジャタラパリヴァルタナーサナ)

腹部のねじりのポーズ(ジャタラパリヴァルタナーサナ)も深いストレッチ効果があるポーズです。腰やお尻の痛みや不具合を改善する効果、体のゆがみや骨盤矯正の効果があると言われています。また肝臓、脾臓、膵臓のだるさを取り除くとも。

  1. 仰向けに寝て、肩のラインにまっすぐ両手を伸ばす。
  2. 息を吐きながら両足を揃えて90度まで持ち上げる。両足はまっすぐ伸ばし、膝を曲げないようにする。
  3. 息を吐きながら両足を右手に触れるように倒す。背中全体は床についたままにしておく。
  4. 両足は揃えて倒し、膝は曲げないようにする。
  5. できるだけ腰椎を床につけておき、お尻から脚を倒すようにする。
  6. 両足を右手まで倒したら、腹部をねじって左に動かす。
  7. 両足を伸ばしたまま、息を吐きながら元の状態に戻す。反対側も同様に。

ポーズのとり方詳細:腹部のねじりのポーズ(ジャタラパリヴァルタナーサナ)


複雑な環境に生きる人こそヨガを習慣化

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今回は、腰痛を改善するすためのヨガを取り上げました。前回取り上げた肩こり同様、原因がわからない腰痛の多くは、姿勢不良からくる血行不良等の身体的影響とストレスから生じる自律神経の乱れなど心理的影響が関係しています。

これらは上記で取り上げたように、相互に影響することで悪循環を引き起こし、心身の不調を引き起こします。こうした事態をそもそも起こさないためには、適切な食事をとり、運動を定期的に行い、ストレスとは距離をとった生活を送ることが最も大切ですが、特に首都圏に住む方はなかなか難しいのが現状でしょう。

そのような方こそ、日常的なヨガを習慣化するべきです。ヨガは、全身をストレッチさせ、リラックス効果も高く、こうした環境でも心身の健康を維持し、体の不調を予防するための術としてとても有効なのです。

ヨガマットを敷ける少しのスペースさえあれば、今日から実践できます。さあ、これを機に、ヨガを始めましょう

Yu Staff

最初はサーフィンのために始めたヨガですが、ヨガから、ワークアウトや食事、呼吸法、瞑想など、もっぱら人間の脳、身体と心の繋がりへの興味が尽きない。最近はビジネス書よりもこれらをテーマにしたノンフィクションばかり読んでいます。