ボディ

男性の冷え症対策 – 日常のちょっとしたトレーニングで予防を

筋肉は熱生産工場

「肉布団を着てるから寒くないんだよ~!」なんて、豪快に笑う恰幅のいい方、見たことないですか?その「肉布団」、筋肉の肉ならOK!だけど、脂肪の肉布団ならNG!! 脂肪の肉布団だとしたら、その方は冷た~い布団を着込んでいる状態です。脂肪は血流がない組織なので、自分で熱を作ることができないからです。

対して、筋肉は血流が豊富な組織であり、熱を生産し、体を温めてくれます。冷たい布団である脂肪に対し、筋肉が十分にある体というのは、電気毛布を着ているような状態なんですね。しかも、筋肉が発熱するときの材料になるのが、にっくき脂肪や糖!邪魔者を燃やし、いわゆる「代謝」を促して熱を作り、血行を良くできるのが筋肉という優秀組織なのです!

この優秀組織を増やして、ぽかぽか体を目指そう!というのが、今回のお話。

固いだけの筋肉は痛みのモト

とはいえ、全ての筋肉が、あるだけでオールオッケーとも言えないのが残念なところ。「筋肉の状態」も、とっても大事なポイントなのです。例えば、肩こりや腰痛。症状の強い弱いはあれど、大抵の方がなんとなーく経験したことがある悩みですよね。これらの症状の原因の多くが「筋肉の凝り」にあるのです。

長時間同じ姿勢をとる、筋肉を過剰に酷使する、同じ部分ばかり酷使する、などが原因となり、血行が阻害されます。すると、乳酸などの疲労物質や老廃物が流れずにたまっていってしまい、筋肉が凝り固まります。そして、十分に血液が流れなくなった部分が痛くなったり、固さが増して重さを感じたりしてくるのです。

つまり、がっちがちに固まった筋肉は産業廃棄物だらけで休業中の熱生産工場。これでは役に立ちません。なので、ただただ筋肉を疲労させて筋肉を増やすぞ!と頑張れば良いだけでなく、ストレッチを取り入れたり、有酸素運動も組み合わせて、疲労物質や老廃物が滞留しない運動が大事ななのです。

筋トレを頑張ったあとは、軽く走ると良い、もしくはちょっと泳ぐと良い、なんていうのは、有酸素運動で筋肉に溜まった疲労物質を流す効果があるからなんですね。男性は「やるぞ!」と思ったら、ぐわっと一つのものに突き進み易い場合が多いので、「筋トレ!」と意気込んで、体をいじめるだけの結果にならないように、バランスも考えて行うようにしましょう!

まずは、ちょいトレ

「やるぞ!」と思ってスタートダッシュで気合いを入れすぎると、すぐに息切れしたり、逆に関節を痛めたりしがち。まずは、生活の中でちょっとずつできる、ちょいトレーニング、ちょいトレから始めてみては?

ちょいトレの基本

ちょいトレの基本姿勢は背中を真っ直ぐに引き上げた姿勢です。人によっては、この姿勢だけでヘトヘト!なんてこともあるかも知れませんね。

座っている場合

まず、足がしっかり床につく高さの椅子を見つけましょう。ちょうど良い高さのイスがない場合、雑誌や座布団で高さを調整します。イスが高すぎる場合には足元に高さを作り、安定する高さをとります。逆に低すぎる場合には座面に高さを作り、心地よい高さを見つけます。写真のようにかかとが上がってしまうと土台が不安定になり、上半身の姿勢が崩れるもとにもなりますので、大事にしましょう。

足の幅はこぶし一個くらいに開く、もしくはしっかり足を閉じ、つま先と膝を同じ方向に向けておきます。

ここまで調整ができましたら、両方のお尻に均等に重さを乗せ、両方の坐骨(お尻にある、座ったときに座面につく骨)の真ん中をキュッと締めて、引き上げるように力をいれてみましょう。その力で背骨を真っ直ぐ引き上げ、頭頂部を上から引っ張られるような感覚がイメージします。

今できた姿勢が、座っているときの基本姿勢です。この姿勢を維持するように意識してみてください。

以下の写真のようにだらんと背中が丸まったまま行うと、十分な効果が得られなかったり、局所に余計な負担をかける結果になるので注意です。

また、背中反りすぎにも注意してください。

立っているとき

足幅はそれぞれのトレーニングに合わせて調整します。足の裏、拇指球、小指球、かかとの内側、外側の4点をしっかり床につき、座っている時と同様に坐骨の真ん中をキュッと引き上げ、その力を使い、腹筋と背筋で背骨を挟んで真っ直ぐに上に引っ張るように意識をします。

この力は、ぜひ普段の立ち姿勢にも取り入れてみてください。

立ち猫背

立ち姿勢で良くあるミスアライメントは猫背。特にデスクワークが多くて肩が前に出がちなあなた、要注意です!少し肩甲骨を内に引き寄せ、胸を張り、顎を引いて、お腹をきゅっと締めてみてくださいね。

女性、特に反り腰の方に多いのが爪先重心の前に傾いた姿勢。腰を痛めるもとになり、腿の前側が張ってしまう原因にもなります。お腹とお尻を締め、尾骨が下を向くように意識してみましょう。爪先だけでなく、足裏全体に重心が乗るように気を付けてみます。

男性、特にO脚の方に多いのが、膝が外に逃げて開いてしまう姿勢。内腿に何かを挟むような意識できゅっと締め、お腹も引き締めて、背中を高く引き上げる意識をしてみてくださいね。

ちょいトレ~座りながら編~

姿勢が整ったら、いよいよトレーニング!! オフィスで、カフェで、家で、座りながらちょいとできるちょいトレをご紹介いたします。

男性は、バーン!と足を開いて、もしくは足を組んで座っていがち。そこをちょいと一頑張りして、足を閉じ、膝を合わせてみます。本とか新聞とか、ちょっと厚みのあるものを落とさないようにするとやり易いですよ。家で行うなら、ボールなどの弾力があるものを足の間に挟むといいですね。

足を閉じるだけで腿の内側の筋肉がしまり、腿の内側の筋肉が締まれば自然と体が引き上がり、腹筋・背筋まで動員、さらに姿勢がよくなって素敵に見えちゃう、一石で三鳥も四鳥もある足閉じ。

かかと上げ下げ

はじめは一分間、足を閉じ続ける、くらいから始めて、二分、三分、五分…と閉めてる時間を長くしていきましょう。一日三回くらいからトライしてみるといいですね。

イスに座った状態で、かかとを上げ下げするだけの運動。運動強度は低いですが、第二の心臓とも言われるふくらはぎを刺激します。出きれば足を閉じて、回数多目で行えるといいですね!小指側ばかりに力が入らないように、五本の指、全部を使う意識、もしくは親指側をしっかり意識して行うのがポイントです。

つま先上げ下げ

1セット20回を一日三回くらいからスタートしてみてください。

かかと上げ下げに対してつま先の上げ下げ。思ったより疲れるはず。

1セット10回を一日3回くらいからスタートしてみます。

片足/両足上げ下げ

椅子に浅めに座ったら、できれば膝を閉じて、下腹部をグッと締め、足を片方ずつ上げ下げします。右足を上げ、下ろす。左足を上げ、下ろす。この繰り返し。しっかり呼吸もつけましょう。吐いて上げて、吸って下ろします。背中が真っ直ぐ上に伸びたまま行えるように注意します!

片足上げ下げに慣れてきたら両足も。椅子に浅めに座ったら、できれば膝を閉じて、両足を揃えて上げ下げ。高く上がらなくも大丈夫!

両足の方が、いかように背中が丸まってしまったり、反ったりしやすいので、しっかり腹筋背筋で背中を引き上げたまま行いましょう。呼吸もしっかり!!

片足上げ下げ+ツイスト

4の片足上げ下げにねじりを加えます。右に体をねじるときには右の足を上げ、左の肘を右膝に近づけるように。反対も同様に行います。

 

ただし、肘を膝につけることに夢中になって、背中が丸まってしまうのはNG。あくまでも、背中を真っ直ぐに引き上げたまま行うようにしてくださいね。

ちょいトレ~座りながら家で編~

こちらは上肢を大きく動かすもの。外では人目が気になるけど、家でテレビを見ながらできるなーというエクササイズをご紹介。

伸び

何はなくても伸び。まずは、両手を組んで、掌を天井に向け、大きく伸びてみましょう。伸びることで肋骨の間の筋肉が伸び、呼吸が深く入りやすくなります。深い呼吸と腹筋背筋への刺激で、一気に体が温まる、オススメの動きです。

肩回し

言葉の通り、肩を大きく回します。肘が大きな円を描くようにし、肩甲骨(背中にある、寄ったり開いたりする骨)をたくさん動かすように意識しましょう。肩甲骨が寄り、胸が開くときに大きく息を吸うようにし、呼吸をたっぷり入れながら行いましょう。

バタフライ

足がしっかり床につくよう椅子に座り、背すじを伸ばします。肘を90°に曲げ、横に開き、肘を合わせるように閉じます。背筋への刺激を重視するならば吐いて開き、吸って戻しましょう。胸を開き、呼吸を深く促すことを重視するなら、吸って開き、吐いて戻しましょう。両方やってもいいですね。

写真の状態から、手から肘までを合わせるように寄せてきます。

ラットプルダウン

両手を上に伸ばし、上から何かをつかんで引き下ろすように動かします。息を吸って手を上げ、吐いて下ろします。下ろすとき、肩甲骨をグッと下げ、背筋が締まるのを感じましょう。手を上げるときは一緒に肩が上がらないように、耳と肩が近づかないように注意します。

写真の状態から、何かを引き下ろすように肘を下ろし、肩甲骨をぐっと下げ、背中の筋肉が締まるのを感じます。

リアデルト

肩と同じ高さに肘を上げ、掌は胸元に持ってきたら、息を吐いて手を横に伸ばします。背面に力が入るのを感じてみてください。

反動をつけると関節に負担がかかるので、二の腕側が締まるのを感じながら、ゆっくり動かすようにしましょう。

ローイング

肘を90度くらいに曲げ、脇腹に沿わせます。そこから肘で壁を押すようにグッと肘を後ろに引きましょう。

腕の力だけでなく、肩甲骨を内側に寄せる、背中の力を使って動かすようにするのがポイントです。

いきなりたくさん課題があっても大変なので、今回はここまで!シンプルに部分、部分を使うトレーニングが多いので、ご自身が足りないと感じるところを中心に試してみてくださいね。

もう気候は春に近づいてきましたが、春だって体は冷える。

「いつだって、お金と筋肉は貯めておけ!」という、現在は引退した島田紳助さんのお言葉でお別れです。長文お付き合いくださり、ありがとうございました!


Cover Photo By www.localfitness.com.au – Own work, CC BY-SA 3.0.

角田 友佳

フィットネスインストラクター。フィットネスクラブのトレーナーとして運動指導に従事していた際に、スタジオプログラムの有用性を感じ、ヨガ、ピラティスの指導者資格を取得。インストラクターとしてデビュー。 その後、キックボクササイズ、zumbaなどの有酸素運動のプログラム、東洋医学の知恵を取り入れた、気功、太極拳の資格を取得し、フリーのインストラクターとして独立。 現在はヨガインストラクター養成にも携わり、幅広い年代に対して運動指導をしてきた経験をいかしてシニアヨガ、学生時代から携わっていた子どもの学習指導、野外活動での経験からキッズヨガのインストラクター養成などに力を注いでいる。