栄養と食事

春の食養生 – 酸味を取り入れ肝の調子を整えよう

「五月病」という言葉があるように、春はなんとなくソワソワしたり、不安になって気が落ち込んだり、何もやる気が出なかったり。逆に気分が高揚しすぎて落ち着かなかったり、イライラしたり…と、精神的な症状が現れやすい季節です。

春に対応するのは「肝」

中医学では、昔から季節と食物と身体には密接な関係があると考えます。それぞれの季節に対応した「味」と「臓器」の働きを活かして身体のバランスを調節しますが、春に対応する臓器は「肝」です。また、目、自律神経、腱、胆のうなどの器官にも関連していると考えられています。

「肝」は、「血」を整え、体内の血量を調整する臓器。中医学では、「気」や「血」のめぐりをよくし、自律神経の安定や、骨や筋肉の緊張を維持する臓器だと考えられています。そのため、「肝」が弱りやすい春は、当然、「やる気」が出なくなったり、「気分」が高揚しすぎたりと、精神的不安定や、偏頭痛、過敏性腸症候群、生理痛やPMSなどになりやすくなるということです。

尚、これらは幸せホルモンと呼ばれるセロトニン不足が原因ともなると言われています。「肝」は関節的にもこうしたホルモンとも関わりがあるのかもしれません。

参考:幸せホルモン セロトニンを増やして幸福感を高めよう

季節と「味」は深い関係 – 春の食養生は「酸味」を

私たちは、寒いときには辛いものを食べたいと思う方も多いはず。それは身体を温かく保つように、いつも知らず知らずのうちに身体に必要な食物を食べて生活していますよね。これは中医学の観点からすると、ごく自然な行動で身体が冷えてくる秋冬に対応する味は、ズバリ「辛」「鹹(塩辛い)」だからなのです。

では、春の「肝」の働きを助ける「味」は何かというと「酸」です。酸味が苦手という方も少なくないと思うのですが、3月3日の桃の節句(ひな祭り)にはちらし寿司(酢飯)を食べ、春の旬の果物である、いちごが小さいお子様からも大人気であるように、日本人にとっては実は馴染みやすい味なのです。

春に意識して摂るべき食材は?

具体的な食材として、その他、各酢、梅干しやミョウガ、トマト、ヨーグルト、レモン、みかん、グレープフルーツなどの柑橘類、りんごなども、良いです。全て身近な食材ですよね。

また逆に、高まりすぎている気を鎮めるためには、夏の味に対応している「苦」の食物もとると、夏バテ防止の対策にもなると言われています。「苦」の食物は、たけのこ、うど、タラの芽、ふきのとう、せり、菜の花、みつば、かいわれ菜、春菊、セロリ、ほうれん草、柑橘類などです。春の山菜ごはんは理にかなっているのですね。

その他、肝を補う食材は、あさり、しじみ、はまぐり、かき、アスパラなどもおすすめです。

春には控えた方がよい食材とは?

では反対に春、あまり摂らないほうが良い食材もあります。適した食材とともにこちらも説明しておきましょう。

体を冷やす生ものや冷たいもの

春は体が活動的になり始める時なので、体を冷やす生ものや冷たいものよりも、温かいものをさっぱりとした味付けでいただくことをおすすめします。

カニや背の青い魚

春は吹き出物などが出やすいので、カニや背の青い魚は注意しましょう。炎症を悪化させてしまいます。

刺激物、肉や高脂肪の食材

春は「気」、「血」がアンバランスになりやすいので、刺激物やお肉、高脂肪の食材は控えましょう。

消化に悪い食材

消化器系が弱っている方は、肝に負担がかかりますので、ごぼうや高カロリー食、もち米などの、消化に悪い食材は控えましょう。

春は旬の野菜をさっぱりといただくことが、元気に過ごす秘訣

最後に、酸味のある食材を使ったアイデア料理をご紹介します。

私の場合、蒸し鶏の大葉巻きをポン酢でいただいたり(私はいつも小麦粉ではなく片栗粉で焼きます。さっくりと仕上がり、口当たりも軽くて好みです。)

 

小松菜とほうれん草と切り干し大根をさっと茹で、炒めたものにポン酢をかけていただきます。手軽に酸味をと取り入れられますし、美味しくいただけます。

 

ネギ焼きを柚子を絞って食べるのもおすすめです。

 

普段、お昼はコンビニの食事が多いという方でも、サラダを食べるだけでも、ドレッシングにはだいたい酸味がプラスされているので、外食でも手軽に取り入れられます。

普段の生活に、是非、意識してとり入れてみてくださいね。

早坂 理恵

早坂理恵 | Rie Hayasaka / Mangala Arati。女優。8歳でデビュー。演技の勉強を始めて間も無く、NHK朝の連続テレビ小説のキャストに選ばれる。18歳で上京し数々の現場で経験を積む中、持病である心臓の病と比較的新しい「脳脊髄液減少症」を発症。芸能活動を休止。現在、復帰したものの今もなお治療中。プライベートではヨガをライフワークとし、水素美容分野での活動(「水素美容のひみつ」著者)。全米ヨガアライアンス RYT500, RPYT(マタニティヨガ), RCYT(キッズ), シニアヨガインストラクター / アシュタンガヨガインストラクター / フィジカルトレーニングインストラクター / Yoga Ed. PI1・PI2修了 Yoga Ed. エデュケーター / 国際食学士 / マクロビオティックセラピスト / アーユルヴェーダベーシック / アンチエイジングアドバイザー / 健康美肌指導士 / 美肌食マイスター など複数の資格を有すなど、心と身体の真の健康をテーマに活動を行っている。