ヨガ

八支則4のプラーナヤーマ – 呼吸の力

八支則4のプラーナヤーマ(Pranayama)は、呼吸法や調気法と呼ばれています。私たちの内臓器官はほとんど意識することができませんが、肺だけは意識できることに気づきます。呼吸を通じて自分の心身のバランスを整える術がある。このことがプラーナヤーマの大切さを気づかせてくれるのです。

八支則4のプラーナーヤーマは、意識的に呼吸をコントロールすることによって、体内を調整することを指しており、体、心に意識を向けていく、という段階に入ります。

それでは、呼吸法や調気法とも呼ばれるプラーナヤーマを見ていきます。

八支則 プラーナヤーマ、呼吸法、調気法とは?

プラーナヤーマの「プラーナ」は、生命、息、生気という意味。「アーヤーマ」は、休止、制止、コントロールという意味から、「プラーナヤーマ」は生命エネルギーをコントロールする、調気法、呼吸法を意味し、呼吸によってエネルギーを全身に取り入れ、身体中に行き渡らせることを目的としています。

呼吸によって全身の細胞にプラーナ(気)が巡ることで全身にエネルギーが巡るとされています。理想的にエネルギーを循環させるためには、姿勢を正すことが大切。身体が整っていれば、エネルギーの流れが良くなり、呼吸も整いやすくなります。そのため、八支則3のアーサナの次に位置しています。

八支則 プラーナヤーマの大切さを理解する2つの重要なこと

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もちろん、気やエネルギーが体内を巡るといった表現は科学的に実証されているわけではありません。しかし、呼吸の大切さは私たちの日常でも気づくことができます。

1. 感情と心は、呼吸とつながっている

皆さん、誰もが経験あると思うのですが、息つぎの間隔が短くなっていたり、気が付けばハァハァと肩で息をするように、呼吸が浅くなっていたり。

反対に深い眠りにつく時や、何かとてもリラックスしている時は、ゆったりとした深い呼吸になっているはず。このことから分かる通り、心の状態と呼吸の状態は、いつもつながっているのです。


もっと詳しく:呼吸の力 – 意識的な呼吸であなたの心を取り戻そう


2. 肺は私たちが意識できる内臓器官

また、もう一つプラーナヤーマを理解する上で大切なことをあげます。

人の内臓は沢山ありますが、「小腸を意識してみてください。」と言われても、なんだかピンときませんよね。腎臓を意識してみるのは?肝臓は??と…。私たちの内臓は自律神経が働きかけています。自律神経は文字通り、自立して動くため普段、意識することができません。

しかし、内臓の中でも、自分で意識してコントロールできるのが、呼吸を行っている“肺”です。例えば、深い呼吸、もしくは浅くて短い呼吸など、私たちは肺を意識的に操作できるのです。


もっと詳しく:自律神経の乱れをリセット – 8つのヨガ呼吸法とポーズでセルフケア


プラーナヤーマで私たちの心身が繋がる

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私たちが普段何気なく行っている呼吸には、交感神経と副交換神経などの自律神経に働きかける役割があります。ヨガの呼吸法には多くの種類がありますが、その多くが自律神経のバランスを整え、精神面のバランスを整える(つまりは心と身体を繋げる)ことを目的としていると言えるのです。

確かにヨガの効果を説明する表現は、現代からすると非科学的と思われる内容もあるのですが、必ずしも間違いではないのです。心の調整も、感情の調整も、呼吸によって自分でコントロールできる、それがヨガなのです。

特に、東洋人にはこの感覚を理解しやすいのかも。「気合がいる」「気が滅入る」「元気」「息が詰まりそう」「息を呑む」など、昔から心の状態を表す「気」や、「息」という言葉が沢山あることからも頷けます。

プラーナーヤーマを意識することであなたのヨガがレベルアップ

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ヨガの神髄はアーサナをどれだけマスターするかよりも、むしろ呼吸法にあると言う人もいるくらい…。それだけプラーナヤーマが重要なことがわかりますよね。ただ、その時思うのが、何を持って自分の呼吸が正しく行えているのかどうかを判断するのかということ。

これは「いま、自分が気持ちいいか。」、ただそれにつきます。なんだか呼吸が不快だな、落ち着かないな、という感覚は、アーサナを取っているときも同様に、“いまの自分”にとっては強すぎるので、少し緩めた方が良いですよ、というサインです。

これは日常にも当てはまります。ご自身にとって向上できる感覚が伴う、心地よい緊張感は必要ですが、息が上がりすぎるような過剰なストレスや行動は、少し、緩めた方が良い、ということかもしれません。過度な緊張状態を感じた時は、深い呼吸を意識してみることをお勧めします。

「私は身体が固いからヨガはできない。」と思われる方もいらっしゃいますが、アーサナをとるだけがヨガでありません。ヨガは呼吸することができれば、つまり生きてさえいれば、誰だってヨガができる、とも言われているほど万人を分け隔てなく受け入れています。

八支則4のプラーナヤーマはそんなことを教えてくれるような気がしています。


もっと詳しく:ヨガに呼吸法が欠かせない理由 – プラーナヤママスターしてヨガビギナーを卒業しよう


プラーナヤーマやヨガの呼吸法についてもっと詳しく

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早坂 理恵

早坂理恵 | Rie Hayasaka / Mangala Arati。女優。8歳でデビュー。演技の勉強を始めて間も無く、NHK朝の連続テレビ小説のキャストに選ばれる。18歳で上京し数々の現場で経験を積む中、持病である心臓の病と比較的新しい「脳脊髄液減少症」を発症。芸能活動を休止。現在、復帰したものの今もなお治療中。プライベートではヨガをライフワークとし、水素美容分野での活動(「水素美容のひみつ」著者)。全米ヨガアライアンス RYT500, RPYT(マタニティヨガ), RCYT(キッズ), シニアヨガインストラクター / アシュタンガヨガインストラクター / フィジカルトレーニングインストラクター / Yoga Ed. PI1・PI2修了 Yoga Ed. エデュケーター / 国際食学士 / マクロビオティックセラピスト / アーユルヴェーダベーシック / アンチエイジングアドバイザー / 健康美肌指導士 / 美肌食マイスター など複数の資格を有すなど、心と身体の真の健康をテーマに活動を行っている。