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喉奥を鳴らして呼吸する? ウジャイ呼吸法でエネルギーを満たそう

朝起きて目を覚ましたい時、やる気を起こしたい時、そして身体を温め血流を改善したり、体幹を鍛えたい、という時に実践すると良いヨーガの呼吸法があります。サンスクリット語で「勝利」という意味を持ち、不安や恐れを取り除き、エネルギーをポジティブに変える「ウジャイ呼吸法」をご紹介します。

心が満たされ、力が湧いてくるウジャイ呼吸

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朝、体がまだしっかりと目を覚ましてくれないような時、仕事中に集中力を欠いて、残りの仕事に取り組むやる気と根気を取り戻したい時などありますよね。

こういう時に効果を発揮するヨーガの呼吸法があります。それが「ウジャイ呼吸法」。「ウジャイ」とは、サンスクリット語で「勝利」という意味を持ち、この呼吸法に集中すれば不安や恐れを取り除き、エネルギーをポジティブに変えてれます。

またウジャイ呼吸法を取り入れることで、身体を温めることができ、同時に血流を改善したり、さらに体幹を鍛えたい、というときにも有効です。

ウジャイ呼吸で大切な「バンダ」

ヨーガの呼吸法というと腹式呼吸のイメージが強いですが、ウジャイ呼吸は胸式呼吸の一種で、お腹を常に引き締めながら呼吸を行います。この引き締めのことを、ヨーガでは「バンダ」と言い、バンダを適切に働かせることで体内のエネルギーを効率よく循環させることができます。

また、ベテランヨギーニは、バンダとともにウジャイ呼吸法をテクニックとして使い、難易度の高いアーサナやツイスト(ねじりのポーズ)系のポーズなどで、アーサナを安定させたりしています。

ヨーガをレベルアップしたい人なら、バンダとウジャイ呼吸法はセットで練習していきましょう。

バンダで引き締める箇所は、主に会陰部のムーラバンダ、へそ下にあるウディヤナバンダ、喉にあるジャーランダラバンダの3つがありますが、ウジャイ呼吸法で使うのはウディヤナバンダ(飛翔のバンダ)です。

ウッディヤーナというのは「飛び立つ」という意味。ウディヤーナバンダで、へそ下を意識しながら腹部を背中へ向かって内側に引き締め、横隔膜を引きあげます。そしてプラーナ(エネルギー)の流れをコントロールし、下腹部から頭の方へ向かって流れるようなイメージで行います。具体的には以下の手順で練習しましょう。

  1. 息をいっぱいに吸い込み、肺から空気を一気に押し出すように遠く息を吐く。
  2. 息を吐き切ったらそのまま止める(息は吸わない)。
  3. 腹部全体を背骨に引きつける。
  4. 両手で腿を押さえつけるようにして腹部を背中の方に収縮させ、胸骨に向けて引き上げる。
  5. 腹部は引っ込めたまま両手を両腰に持ってくる。
  6. 腹部は引っ込めたまま、また、顎を胸骨につけたまま、背骨と両足を伸ばす。

詳細な練習方法:ウディヤーナバンダ(飛翔のバンダ)


それでは本題のウジャイ呼吸法について詳しく見ていきましょう。

ウジャイ呼吸法の実践

ウジャイ呼吸の禁忌・注意事項から

不安を取り除き、やる気を起こしたい時などに有効なウジャイ呼吸法ですが、いくつか注意点があります。

まず、ウジャイ呼吸では、おへその下にあるウディヤナバンダを使うため、生理前や生理中、妊娠中の方はバンダを強く引き締め過ぎないように注意してください。

また、喉を締めて摩擦音を出す呼吸なのですが、喉を締めすぎて喉に炎症が起こらないように注意しましょう。その他、内臓を引き締める動作を伴いますので、満腹時や食べてすぐに行うのは避け、食後3時間は空けて行うようにしましょう。

ウジャイ呼吸の恩恵・効果

ウジャイ呼吸の恩恵は、ヨーガの呼吸法全般に言えますが、自律神経が整うので恐れや不安を取り除き、ストレスも解消に向かいます。

また、腹圧を高めることによって内臓系器官の活性化や、体温/エネルギーの上昇、喉の浄化や呼吸器系の不調を緩和させます。また呼吸をゆっくりと取り込みますので、頭を鎮静化させたりする効果が期待できます。また、腸をはじめとする内臓機能を活性化させ、体内の毒素を排出させる働きも期待できます。

ウジャイ呼吸のやり方

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それでは、実践にうつりましょう。

特にアシュタンガ・ヨガを行なう上では、基本の呼吸法とされているウジャイ呼吸。呼吸は、鼻から吸って鼻から吐く、鼻呼吸を繰り返します。基本的には吸う、吐くの長さは均等にして、息を吐く時も吸う時も、ウディヤナバンダを引き締めて、下腹部を柔軟に引き上げるようなイメージで行います。

  1. まずは口を開けてため息するように、ハーッと息を吐き出します。
  2. 口から息を吐き出している途中で口を閉じます。
  3. ウディヤナバンダを引き締めながら残りの息を鼻から吐き出します。
  4. その時、喉の奥で摩擦音がするのを感じましょう。
  5. その喉の状態のまま、そしてウディヤナバンダを引き締めたままで鼻から息を吸います。

慣れてきたら、初めから口を閉じたまま舌先を上あごにつけるか、舌先を喉の奥の方向へ巻き、上記のステップ⒉から始めましょう。

ウジャイ呼吸は、体内に入ってくる空気を、喉の奥を締めて細めた気管で温めて、その温めた空気を各器官に送るようなイメージ。この作用によって内臓の働きを良くしていきます。

また、喉の奥に通る空気の音に集中することで、集中力や意識を高めるほか、さらにウディヤナバンダを引き締めることによって、思考やアーサナが安定感が増していきます。

日常でウジャイ呼吸法を活用しよう

Photo by Andrew Neel on Unsplash

不思議なことに、やる気を起こしたいときに活用できるウジャイ呼吸。オフィスで雑念を取り除き、集中したい時などは使えます。また、プレゼンテーションなどの大一番の際は、目を閉じて喉の奥の摩擦音と呼吸の通る様子に焦点を合わせれば、緊張も緩和されます。

また、深い眠りにつきたい時にもオススメしたい呼吸法でもあります。というのも、冒頭で紹介した通りウジャイ呼吸は胸式呼吸の一種で、バンダで腹圧をかけ腹部の上下運動を行いますので、腸内が活発に動き出します。

腸内が活性化することでホルモンバランスを整えて自律神経のバランスを安定にしてくれる作用がありますので、寝つきが悪い時や精神的に不安定な時、悩み事やストレスなどを抱えている時は、ベッドの上で寝る直前にウジャイ呼吸を10~15回程行ってみてください。

入眠を促し、眠りの質が上がってぐっすりと眠れるようになります。この時、あわせてシャバアーサナ(屍のポーズ)を行うと、より一層自然に眠りにつくことができますのでオススメです。

呼吸が浅くなると自律神経が乱れやすくなります。ウジャイ呼吸は必然的に呼吸が深くなるため、脳にも酸素を送り、スッキリとしてくる感覚が味わえるかと思います。

このように集中力を高めたい時や脳をスッキリとさせたいとき、ぐっすりと眠りにつきたいときなど、是非実践してみてください。

早坂 理恵

早坂理恵 | Rie Hayasaka / Mangala Arati。女優。8歳でデビュー。演技の勉強を始めて間も無く、NHK朝の連続テレビ小説のキャストに選ばれる。18歳で上京し数々の現場で経験を積む中、持病である心臓の病と比較的新しい「脳脊髄液減少症」を発症。芸能活動を休止。現在、復帰したものの今もなお治療中。プライベートではヨガをライフワークとし、水素美容分野での活動(「水素美容のひみつ」著者)。全米ヨガアライアンス RYT500, RPYT(マタニティヨガ), RCYT(キッズ), シニアヨガインストラクター / アシュタンガヨガインストラクター / フィジカルトレーニングインストラクター / Yoga Ed. PI1・PI2修了 Yoga Ed. エデュケーター / 国際食学士 / マクロビオティックセラピスト / アーユルヴェーダベーシック / アンチエイジングアドバイザー / 健康美肌指導士 / 美肌食マイスター など複数の資格を有すなど、心と身体の真の健康をテーマに活動を行っている。