ボディ

侮ってはいけない冷え性が及ぼす影響とその症状

これまで、男性の冷え性についていろいろとお話してきました。

では今回は、冷え性になると体にどんな影響があるの?についてお伝えしましょう。今回は女性にもほぼ共通のお話なので、女性の皆さんも必読です。

冷え性の方に起きる不調としてよく知られているのは、頭痛、肩凝り、腰痛、膝痛、消化不良(便秘や下痢)などです。

冷え性の方は血行が良くない状態なので、凝りや内臓の機能低下を招くのは納得ですよね。

冷え性がもたらす症状リスト

さてさて、それらメジャー級の不調以外にも、冷え性は体の様々な不調に関係します。「冷えは万病のもと」正にその通り!冷え性の方にどんな不調がおこりやすいのか、ご自身の体調と照らし合わせながら、お読みくださいませ。

風邪を引きやすい

風邪を引きやすくなった、もしくは風邪の症状が長引くようになった、と感じることはありませんか?その裏側に冷え症がある可能性があります。

体が冷える、冷えて血行が悪くなるということは、すなわち免疫力が低下することなのです。なにしろ、体温が一度下がると免疫力が約37%落ち、体温が一度上がると免疫力が約5倍に上がるといわれているのですから!免疫力が下がれば当然、風邪を引きやすくなるし、治りづらくもなりますよね。

ガン

ガンもまた、冷えが招く病気と言われています。ガン細胞は35℃で最も増殖するからです。体が冷えることで体内の酵素の働きが低下し、それに伴って免疫システムの機能が低下して、発生したガン細胞をやっつけられなくなるのだそうです。ちなみに、もっとも免疫力が高いと言われている理想の体温は36.5~37℃ですが、37℃あったら微熱だよ!と思いませんか?

ところが、「医学大辞典」(南山堂)によると、出版された1954年あたり、日本人の平熱は36.5℃~37.2℃だったのだそうです。60年くらいで約1℃、体温が下がっているんですね。現在、ガンが増えているのは体温の低下が原因だという医師も多く、実際、ガンの患者さんはほぼ例外なく冷えているのだそうです。ストレス、環境、食事など、慢性的に体が冷える状態から脱し、体を温めて、温かい血液が体内を巡るように心掛けていれば、若年性のガンはかなり予防できるのではないかと言われています。

ちなみに、体温が39.3度になるとガン細胞は死ぬそうです。たまには高熱を出すのも、いいもの…かも!?

頻尿

寒い中にずっといると、お手洗いが近くなる。男女問わずのあるあるですよね。下半身が冷えると、腎臓で水分を保持する機能が低下し、排尿の回数が増えるのです。下半身を温めると、水分を保持する機能が高まり、頻尿が改善に繋がります。頻尿気味だ、夜中のお手洗いの回数が増えた、と思う方は、ぜひ試してみてください。

睡眠障害

なかなか寝付けない、夜中に目が覚めてしまう、眠りが浅い…、これらの悩みの裏にも冷え性がある可能性があります。

睡眠時、人は副交感神経が優位な、リラックスした状態です。でも、体が冷えていて血行が悪い状態というのは…?これまでこのシリーズを読んできてくださった方は、ご承知ですよね。そう、交感神経が優位な状態です。体が緊張し、アクティブモードだということ。

質の良い睡眠をとるには、交感神経と副交感神経の切り替えが適切にできている必要があります。それなのに、遅くまで仕事をしていて交感神経優位な状態が続いていると、帰宅していざ寝ようと思っても、副交感神経が優位な状態に切り替われないのです。交感神経優位なままだと、末梢の血管が収縮して血行が滞り、手足も冷たくなっていて寝付きが悪くなります。

仕事を早めに切り上げて、心身を温めてから休む…ということができれば理想的ですが、なかなか仕事の調整が追い付かない場合もあるでしょう。

そういった方は、ちょっと時間をとって、38~40度のぬるめのお風呂に入ってから休んでみてください。お風呂に入る時間なんかないよ!と思われるかも知れませんが、寝付けないでイライラしたり、夜中に起きてしまう5~10分をお風呂に使うと思ったらいかがでしょうか?眠りも深くなり、冷たい体で急いでお布団に入り込むより、快適な朝を迎えられるかもしれませんよ。

余談ですが、冷え性の方は寝相がいいそうです。考えてみれば、体温が高い子どもは寝相が悪いですよね。寝ている間も、もちろん意味があって動いています。5時間も6時間も同じ姿勢で固まっていたら、朝は体がガチガチですよね。そうなるのを防ぐために寝返りをうったりしてるのに、それがなかったらもともと血行が悪くて凝りやすい体が、さらにガチガチになるという悪循環に陥ってしまいます。

男性は女性に比べて呼吸機能が弱いため、もともと睡眠が浅くなりやすいという話もあります。ご自身の睡眠を振り返ってみては?

症状も要因も様々な痔ですが、冷え性は痔の要因の一つです。例えば、直腸や肛門周辺の静脈が鬱血し起こる、いぼ痔。身体が冷えると、身体全体の血管が収縮し、当然、肛門周辺の血液の流れも悪くなるので、痔に繋がってしまいます。座っている時間が長いことで血行が悪化し、痔の原因になることもあります。

お尻はもともと冷えている場所です。あまり触ることがないので気づかないかも知れませんが、試しにちょっと触ってみてください。いかがでしたか?冷たく感じる方が多いのではないでしょうか?

かなり冷たかった!という方、痔にお悩みの方、冷えているお尻にカイロをあてたり、温かいブランケットを敷いて座るようにするなどして温めると、痔にも良いですし、全身が温まるのが感じられますよ。

また、痔の大きな要因と言えば「便秘」「下痢」。ガンの項目でお伝えした体温でいうと、35.5°くらいが日常的に続くと排泄機能が低下するのだそうです。冷えは消化器の働きを鈍くします。冷えると、胃腸の粘膜の血液循環が悪くなって消化力が落ちたり、腸管の収縮力が低下したり、腸の蠕動運動が弱くなったりしてしまうのです。便秘や下痢が続く方は、食習慣の注意はもちろん、下腹部をよく温めるようにすると良いですね。腹巻きをする、カイロを貼る、など試してみてください。冷たい飲み物や食べ物をとりすぎないことも大事ですよ!

アレルギー症状

花粉症にアトピー性皮膚炎、最近では寒冷アレルギー(急な温度差で起きるアレルギー症状)など、様々なアレルギー症状があります。何のアレルギーもありません、という方の方が圧倒的に少ないのではないでしょうか?

アレルギー症状というのは、免疫機能と関係します。免疫機能と関係すると言えば、ピンとくるものがあるのではないでしょうか?そう、冷え性は免疫力低下に繋がるんでしたよね。

体が冷えれば、血行も悪くなり、体温も下がり、免疫力も低下する。風邪を引きやすくなる話でお伝えした通りです。そして、免疫力が下がれば、アレルギー症状も悪化するのは、想像に難くないですよね。ちなみに、体温の観点からいうと、体温35.5°で自律神経失調症、アレルギー症状が出やすくなるのだそう。

そして、免疫の要といえば、腸。なんと、免疫細胞の6割もが腸に集中しています。腸の血行が悪くなり、免疫細胞が十分に働かなければ、免疫力は落ちます。さらに、腸の血行が悪くなることで、腸で行われる消化、解毒作用が十分に働かなくなってしまうのです。分解や解毒が不十分なままのたんぱく質が肝臓に運び込まれると、それを異物とみなし、抗体反応が起こります。これが、アトピーや花粉症などのアレルギー症状になってしまうのです。

よく体を温めて、腸内環境を整えることが、アレルギー症状緩和の第一歩。花粉症の季節が来る前に、心掛け始めましょう!

うつ

うつは様々な要因が重なって発症するものです。ただ、以前に「心の冷え」についてお伝えしたように、冷え性と全く無関係とはいえません。それは、今までも話に出ている「自律神経」と関係があるからです。

ストレスがかかると交感神経が優位になるということは何度もお伝えしてきましたね。ストレスがかかった緊張状態があまりにも続き、限界を超えたとき、瞬間に副交感神経モードに切り替わり、元に戻らなくなるという現象が起こります。そのため、交感神経が優位なときに分泌される、ドーパミンなどのやる気を起こさせ、脳を活性化させる神経伝達物質が分泌されなくなり、何もやる気が起きない、死にたい、という状態に陥ってしまうのです。

ストレス性の喘息も同様で、交感神経が優位に働いていると発作が抑えられているのですが、限界を超えるとスイッチが勝手に切り替わり副交感神経優位になるため、発作を抑えるために気管支を収縮しようとしても、いうことをきかなくなって起こるのです。

カウンセリングや薬での治療も大事ですが、温かい飲み物やお風呂などで体をしっかり温めてみてください。血液の循環が良くなり、心身の緊張がほどけ、自律神経も正常に働き易くなります。心身を冷えから解放することは、治療の効果を高め、症状緩和の手助けとなるでしょう。

冷え性対策は心身ともに温めることが大切

冷え性があれやらこれやら、いろんなことに関与していることをお分かり頂けましたでしょうか?

寒い冬、幸いにも温かいことが心地よく感じる時期です。食べるもの、飲むもの、お風呂、カイロ、衣類、運動、ストレス解消…多方面から、心身ともに温めることにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?損はないと思いますよ!

参考文献

  1. クールな男は長生きできない―こわい!オトコの「隠れ冷え」 川嶋朗 著
  2. 「体を温める」と病気は必ず治る 石原結實 著
角田 友佳

フィットネスインストラクター。フィットネスクラブのトレーナーとして運動指導に従事していた際に、スタジオプログラムの有用性を感じ、ヨガ、ピラティスの指導者資格を取得。インストラクターとしてデビュー。 その後、キックボクササイズ、zumbaなどの有酸素運動のプログラム、東洋医学の知恵を取り入れた、気功、太極拳の資格を取得し、フリーのインストラクターとして独立。 現在はヨガインストラクター養成にも携わり、幅広い年代に対して運動指導をしてきた経験をいかしてシニアヨガ、学生時代から携わっていた子どもの学習指導、野外活動での経験からキッズヨガのインストラクター養成などに力を注いでいる。