ヨガ

男性が知らないヨガと瞑想の本当の効果

男性ビジネスパーソンの中には、健康がパフォーマンスに与える影響を意識し、日頃からフィットネスに取り組んでいる人もいるでしょう。しかし、ヨガとなると女性に人気があるというイメージが強いからか、自分ゴトとして捉えられない男性もいるでしょう。実はヨガや瞑想はしなやかな筋肉を手に入れるだけでなく、ストレス耐性を高め、注意力や集中力アップなど生産性向上に寄与するという調査結果があります。今回は、男性ビジネスパーソンが知るべきヨガと瞑想の本当の効果をご紹介します。

常にプレッシャーの中で結果を求められる男性ビジネスパーソン

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あなたが男性で、日々、結果を出す義務を負っているビジネスパーソンなら、少なからずストレスがあるはずです。また、プレッシャーの中に置かれながらも、生産性を向上するために何らかの方法やスキル習得に興味があるのではないでしょうか?

世界保健機関(WHO)の推計によると、米国では長期欠勤や離職、生産性の低下などストレスに起因する経済的損失が、少なくとも計3000億ドルに上るそう。企業が組織としてメンタルヘルスに取り組む理由として十分な損失額だが、これだけの状況に置かれる男性にとっても憂慮すべき問題です。

このようにメンタルヘルスは今や他人事ではなくなっています。「自分はストレスに強い、関係ない」と言う人もいるかもしれませんが、本当でしょうか?

各業界のエリートはすでにヨガや瞑想を取り入れている

今、ビジネスはもちろん、伊インテルの長友選手などプロスポーツのトップエリートが、ライフスタイルにヨガや瞑想を取り入れ始めています。現テニス世界ランキング1位のジョコビッチはライフスタイルにヨガと瞑想を取り入れていることは有名ですが、彼は世界ランキング1位に上り詰めた理由はテニスのトレーニングはもちろんのこと、ヨガと瞑想、食事だと自らの著書で語っています。※1

また、スポーツエリートだけではありません。シリコンバレーでも故スティーブ・ジョブスが瞑想を取り入れていたことはご存知の人も多いと思いますが、他にもビル・ゲイツ、Twitterを創業し、モバイル決済サービス スクエアを創業したシリアルアントレプレナー、ジャック・ドーシーのようなビジネスエリートの中にも瞑想実践者が見つかるのです。

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常にトップオブトップを走る彼らに、根拠のない自信というものはないでしょう。彼らは見えないところで、自分のケアや生産性を高める術を身につけているはずです。彼らのハイパフォーマンスの秘密はヨガや瞑想にあると言うと大げさかもしれませんが、関係がないわけではないでしょう。少なくともジョコビッチは言い切っています。

ヨガが男性に与える5つの効果

では、著名人が生活にヨガを取り入れる理由は何か?次から科学的な調査結果を引用しながら具体的なメリットをみてみましょう。まずはイメージでヨガを判断せず、最新の知識を知ってみてください。

1. しなやかな筋肉と柔軟性を手に入れ身体能力が向上する

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筋肉に負荷を与えるストレングストレーニングやエクササイズを行なっている男性は多いでしょう。筋肥大を目的とした筋トレとは異なり、ヨガのほとんどのポーズは自重の負荷で、一つ一つのポーズで静止すれば、効果的に体幹やインナーマッスルを鍛えることができます。

また、ヨガのポーズは、脊柱を基本として、肩甲骨、骨盤など身体能力を決定づける身体の要素に対し、ストレッチによる可動域向上やパワーアップも見込めます。そのため、全体的にしやなかな筋肉と柔軟性が得られる他、体全体の機能性が向上すると言えるでしょう。

身体の骨格や関節の機能性が改善されると、普段の身体の調子がよく感じるだけでなく、別のスポーツに取り組まれている方であれば、よりパフォーマンスアップに繋がることが期待できます。

2. プレッシャーを跳ね除けるストレス耐性を手に入れる

私たち日本人は、ものごとをネガティブにとらえやすい傾向があります。この気質はセロトニントランスポーターという遺伝子が関係していることがわかっており、それによると日本人の実に97%は不安を感じやすく、内向的な気質を持っていることがわかっています。※2

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しかし、ヨガや瞑想を行うとストレス遺伝子の発現が減少されるという研究結果があり、こうした遺伝的な制約を乗り越えられる可能性を示しています。

ハーバード大学医学大学院のジョン・デニンジャー医師を中心とする研究チームは、慢性的にストレスがある被験者に対して調査を実施し、慢性的なストレスを受けている状況にある脳や遺伝子が、ヨガや瞑想によりどのような影響があるか調査しました。※3

男女合計210名が、それぞれ、ヨガ・瞑想・呼吸法を含むクンダリーニヨガを実施するグループ、瞑想だけを行うグループ、ストレスへの対処法に関する録音された説明のみを聞くグループと3つのグループ(各70名)に分けられ、2ヶ月間調査を実施。

被験者へのアンケート、血液による遺伝子解析、神経画像などを使い明らかになったのは、ヨガと瞑想を行った被験者において、ストレス遺伝子が減少したこと。

これまでマインドフルネス瞑想により私たちの脳の灰白質の形を変えることが科学的に証明されてきましたが、上記の研究結果は、ヨガや瞑想により脳ばかりか、身体にも生物学的影響を及ぼしていることが証明されたことになります。

つまり、ヨガや瞑想は私たちの脳をバージョンアップするということです。

3. 呼吸を制して意識的にオンとオフを切り変える能力が身につく

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ヨガは何もポーズ(アーサナ)だけではありません。ヨガは瞑想と呼吸法が三位一体となっており、呼吸法はその一つ。

呼吸法はサンスクリット語でプラーナヤーマと呼び、調気法とも訳されますが、ヨガの達人の中にはこのプラーナヤーマを制することこそがヨガだという人さえいます。

しかし、現代になって古代から続くヨガの呼吸法を通して、私たちの感情やマインドを制御できることがわかってきました。ヨガのゆっくりとした深い呼吸(腹式呼吸)では、三代神経伝達物質であるセロトニンを活性化させ、自律神経のバランスを整える効果があることがわかっています。また、副交感神経を呼吸を通じてコントロールすることで、私たちは意識的なリラックス状態を作り出せるということです。

また、グレイシー柔術のレジェンド、ヒクソン・グレーシーは、ヨガ実践者として有名ですが、彼は闘いの前に火の呼吸を使ったといいます。浅く早い呼吸を行うことで交感神経を刺激し、興奮状態へ持っていけることも可能。

つまり、ヨガの呼吸法でオンとオフ、それぞれを意識的に切り替えることができるのです。

男性には、必ず勝負の時が来ます。簡単に達成できそうもない高い壁が目の前にそびえ立つこともあるでしょう。そうした状況下では闘いに備えるために意識的に自分を奮い立たせることも必要ですし、勝負が終わった後にリラックス状態に自分を持っていくことができます。

ヨガの呼吸法とは意識的に私たちの感情や肉体をコントロールする術なのです。

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3. 注意力が向上し、処理能力が高まる(集中力が向上する)

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集中力は、できる男性ビジネスパーソンにおいて重要な能力だということを否定する人はいないでしょう。

実際、常磐薬品工業が20~50 代男女 400 人に実施した「仕事中の集中力に関する調査」※3 を見ても、更に集中力を高めていきたいと思うビジネスパーソンは、実に87.5%。この記事を読んでるあなたも少なからず集中力向上に関して興味を持っている、または集中力を高める方法を探しているのではないでしょうか。

この点においても男性ビジネスパーソンがヨガと瞑想を実践すべき理由があります。

イギリスのリヴァプール・ジョン・ムーア大学の研究者が実施した研究によると、瞑想を通じて高度なマインドフルな状態にあるとき、私たちは処理能力のスピードが増し、さらに正確性が高まることがわかっています。※4

つまり、瞑想により注意力が高まるとともに、持続的な集中力を得られるのです。

もっと詳しく:ビジネスパーソンの生産性 – マインドフルネス瞑想で磨く集中力

4. 目の前の問題を内側で捉えることで物事が好転する

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ストレスと集中力/生産性向上についての研究結果をあげてきましたが、実際、ヨガと瞑想がこれらにどう働くのでしょうか?

TULAでは瞑想や呼吸法、そしてアーサナ(ポーズ)を含むヨガは、常に自分に意識を向けること(自己の内観)が目的と何回かとりあげています。

そもそもストレスは、私たちが描く期待と目の前の状況との間のギャップで生じると言え、理不尽で不条理な出来事であふれるビジネスの現場においては日常茶飯事です。そのギャップに対する反応を、ポジティブに捉えられるのか、またはネガティブに捉えるのかでストレスになるのか分かれ道となります。

もっと詳しく:ストレスに負けない心と身体をつくる4つの習慣

それに対しヨガや瞑想で自己を内観することは、目の前の状況やものごとをありのままに受け止め、そこで沸き起こる感情を客観的にとらえる。そして、それを受け流す術を身につけるトレーニングとも言えるのです。

また、集中力/生産性向上についても同様です。常に自分の意識を今に向ける、自分に向けるといったヨガや瞑想のプロセスこそが、散漫な状況下における注意力や集中力の欠如を防止し、常に目の前の状況に集中するというトレーニングになっているのかもしれません。

つまり、ヨガや瞑想を実践すると目の前の問題を内側にとらえることが可能となり、一見、コントロール不能な外的要因を自ら内側でコントロールする術と能力を与えてくれるのです。

いずれにせよ、上述した調査結果からわかるのは、ヨガと瞑想は、ストレス耐性の強化と作業能力向上に対して正の相関関係があることは間違いありません

男性こそヨガを生活に取り入れ身体と脳をバージョンアップ

ヨガは美容の手段としての側面がクローズアップされているため、ヨガを自分ゴトとして捉えられない男性は多いかもしれません。しかし、実はハイプレッシャー下に置かれる男性ビジネスパーソンにこそ、おすすめなのです。

今回見てきたヨガが男性へ与える効果は、いずれも科学的な根拠があります。男性としてもこれらの能力を得られるヨガ、瞑想、呼吸法は、パフォーマンスアップのために有効です。

すでにスタジオに通われているなら、ヨガレッスンに参加してみてはいかがでしょうか?

次回はよくあるヨガと瞑想に対する誤解を解こうと思います。ぜひ、楽しみにしていてください。


男性に知ってほしいヨガと瞑想のこと

 


参考元:


Yu Staff

最初はサーフィンのために始めたヨガですが、ヨガから、ワークアウトや食事、呼吸法、瞑想など、もっぱら人間の脳、身体と心の繋がりへの興味が尽きない。最近はビジネス書よりもこれらをテーマにしたノンフィクションばかり読んでいます。