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コンディショニングとヨガ – トレーナーに聞く日常をより良くする選択

美容として捉えてしまうヨガとピラティス。しかし、厳しい世界に生きるアスリートの方、そして日常に生きる私たちにも新しい手段として活用が広がっているのはご存知ですか?スポーツや日常から生じる私たちの身体の不調を改善する「コンディショニング」と言う分野での活用です。今日はコンディショニングのプロにご登場いただき、コンディショニングとヨガについて解説いただきます。

連載:コンディショニングとヨガ

第1回 - トレーナーに聞く日常をより良くする選択

ヨガが身体のなんとなくの不調を改善する分野で見直されています。コンディショニングのプロから見たヨガの効果について解説します。

第2回 - ヨガを継続すれば身体の不調が改善する理由

二つの姿勢に注目しながら、重力に逆らわない本来あるべき姿勢を学び、ヨガが継続することで得られるコンディショニングの効果を学びます。

コンディショニングの考え方とヨガの関係

最近アスリートの間でも取り入れられることも多いヨガやピラティス。なぜなら、競技種目の技術向上だけでは厳しいスポーツの世界で生き残ることは難しく、基礎体力を向上させたり、食事を見直したり、メンタルを整えたりと様々なアプローチで体調を管理していくコンディショニングにヨガやピラティスが役立つからです。

アスリートに限らず、社会で日々戦っている私たち一般の人にも取り入れることで、生産性が高まったり、前向きな日常を送るのにも役に立つます。

今回は、アスリートだけでなく介護の現場や様々な不調を抱える人たちと向き合ってきたパーソナルトレーナー/コンディショニングトレーナーの金森徹さんをゲストにお迎えし、スポーツに取り組む人、そうでない人にも取り入れられるコンディショニングについてお話をお伺いしています。

第1回目はコンディショニングの考え方とヨガの関わりについてお話をお伺いしました。

ゲスト
金森徹さん
体と心を動かす空間「Spazio」オーナー
パーソナルトレーナー、コンディショニングトレーナー。スポーツの現場で選手たちへの指導、接骨院、デイサービスでも経験を積み、現在ではスポーツの現場と合わせて様々な目的に合わせたトレーナーとして活動している。健康は人生の目的でなく幸せな生活を送る手段として心と体を動かす空間Spazioを立ち上げ、川崎市の地域のコミュニティづくりに励んでいる。

Spazio ホームページ >

聞き手
尾花理恵子さん
Yu Studio Co-Founder, Operational Director
全米ヨガアライアンスRYT-200 ヨガインストラクター・アーユルヴェーダセラピスト ヨガ&ウェルネススタジオYu Co-Founder・Operational Director 自分をいたわるヨガとアーユルヴェーダ、スポーツコンディショングヨガをテーマに活動中。 2021年栃木県佐野市にUターン移住。地元の自然を満喫しながら東京圏へ通勤。心穏やかに生きることを目標にしている。

プロフィール >

アスリートから一般のビジネスパーソンまで運動を指導してきた20年間

尾花:パーソナルトレーナーとして長年活動してきた金森さん。まずは自己紹介をお願いします!

金森さん:こんにちは。神奈川県や都内を中心に約20年間、パーソナルトレーナー、そしてコンディショニングトレーナーとして活動してきました。

これまでジュニア(中高生)アスリートに、トレーニングやコンディショニングについて指導し、バスケットボールや野球、ラグビー、そしてフェンシングの選手たちをサポートしてきました。

中には日本代表選手の学生時代に関わった経緯もあり、いわゆる体育会系と呼ばれるような本気の選手たちのサポートを行っています。

ただ僕自身は、アスリートに限らず一般のビジネスパーソンや高齢者等、どんな方に向けても解剖学、生理学、物理学、運動学などの基礎的な原理や理論を大切にしたいと考えていて、介護の現場、部活動、自宅でのサポート、ジム(スタジオ)等の運動指導を通じて幅広いクライアントがいます。

体を動かすこと(運動)が、得意・不得意の軸ではなく「楽しい」「嬉しい」「ワクワク」「気持ちがいい」と思ってもらえるようにサポートをすることが僕の役割だと思っています。

運動を中心としたコミュニケーション空間「Spazio」

尾花:どうしても運動というと運動神経がいい・悪いで語られて、痛みがあったり太っていたりするとどうしても運動を敬遠してしまいますよね。

金森:そうなんです。そもそも運動神経は良い・悪いで語られるものではないのです。神経というのは脳からの信号を筋肉などの体に伝える構造の一部なので優劣はありません。

しかし、運動神経という言葉が、良し・悪しがあるように使われてしまっていることで、最初から運動することを諦めてしまう人が多い原因となっており、とてももったいないことだと思います。

僕は川崎市の元住吉という場所で運動のできるコミュケーション空間Spazioを始めたのですが、そのきっかけはコロナ禍でスポーツジムが次々に閉鎖していくことに違和感を持ったからです。

そもそも人が、体を動かすこと、運動することは「健康」に深く関わっていたはずなのに、感染が怖いからといって健康にいい習慣をやめざるを得ない風潮になりました。

そこで、一度「トレーニング」とか「ジム」などという言葉から離れて、誰もが心地よいと感じることができる『空間』という意味を持たせた場所を作りたかったのです。

尾花:Spazioでは若い方から70代を超える様々な方がふらっと立ち寄って、それぞれがご自身のトレーニングやストレッチに励まれていますよね。

目的も様々で、基礎体力を向上させたい方、体を引き締めたい方、姿勢や歩き方を改善されたい方などが同じ空間で楽しくおしゃべりをしながら取り組んでいるのが印象的です。マイペースに誰かと比べたり同調する必要のない穏やかな空間だなと感じました。

コンディショニングとは体の調子をより良くする取り組み

金森:自分に向き合うということはコンディショニングにおいて、とても大切な観点です。

そもそもコンディショニングは「体の調子をより良い状態へしていく取り組み、過程」のことだと思っています。スポーツの世界ではよく使われる言葉ですが、あまり馴染みのない方も多いのかもしれません。

「より良い」と言っても、人によって何がより良いのか様々です。スポーツの場合、競技特性やルールがあるので、「より良い」が共通化して言葉にしやすいのですが・・・。

でも、やはりここで思うのは、スポーツであっても日常生活であっても、人が地上で行う動きであれば、ある程度の「より良い」は共通しているのではないかと思うんです。

毎週土曜日20:00〜21:00開催

ヨガを通じて自分の内面を見つめ、体の使い方や心のあり方を捉え、身体のパフォーマンスを最大限発揮すること、怪我を予防することを目的に行います。様々なスポーツに共通する動き 「立つ」「走る」「止まる」「ねじる」 この4つにフォーカスし、ヨガのポーズや呼吸、瞑想を通じて微細な体の感覚を感じ取り、精神の集中とリラックスで心の動きも見つめます。

もっと詳しく

コンディショニングは、アスリートのものではなく一般の人にも役立つ

尾花:なるほど。馴染みのない言葉だと私には関係ない、と思ってしまいがちですが、スポーツ競技をしていない私にとっても「より良い」状態で仕事をしたいと日々願っているのでぜひ取り入れていきたい考え方ですね。

では少し概念的で小難しい「コンディショニング」とは具体的にどんな事をさすのでしょうか?

金森:例えば、サッカー選手が練習の後にマッサージやストレッチなどの施術を受けたり、様々なツールを使って筋肉の状態を整えるのはイメージしやすいと思います。

また、走り込みやウエイトトレーニングなど心肺機能や筋力強化は90分以上最高のパフォーマンスを発揮するために必要な土台です。大切な試合の日に向けて調子をより良くしようと考えると、練習の頻度や量、強度、内容などの変数を調整するのもコンディショニングの考え方です。

さらに、日常的に捉えると毎日の動作、食事、睡眠など、これらをコントロールし、整えていくことも立派なコンディショニングです!

一言で言ってしまえば「体調をよくする目的があった上で行動をより良くする行為全て」がコンディショングなんです!

コンディショニングのプロから見たヨガの効果

尾花:金森さんはご自身でもヨガに取り組まれていますが、どう感じていますか?

金森:トレーニングやコンディショニングでこれまでやってきたことは、根本的に一緒だと感じています。またヨガは日々トレーナーとして選手たちに指導するのが難しいと感じることが体系化されていて伝わりやすいのにはびっくりしました。古くから伝わってきているのは意味があるんだなと思います。

ヨガで大切にされている呼吸は「今、ここに在る自分」に意識が向かうメンタルトレーニングの指導の基本です。

呼吸というシンプルな動作によって自分自身を中央に持っていく、真ん中、ニュートラル、と非常に抽象的なことが、具体的にできるトレーニング方法だと体感しました。そして、ただただ気持ちがよかった。「自分の感覚が整った〜。」という気持ちの良さはきつく苦しいトレーニングとは違った感覚ですよね!

尾花:最初にお会いしたときに驚くほど呼吸に感銘を受けていた様子を思い出しました(笑)。コンディショニングとヨガ、言葉や発生源、アプローチは違いますが、兄弟のような近しい関係ですね。

ここからスポーツコンディショニングヨガのプログラムが作られていく訳ですが、第2回のインタビューでは「姿勢」を軸としたコンディショニングとヨガの可能性について語っていただきたいと思います!


参考情報:神奈川県川崎市にある体と心を動かす空間、Spazioのホームページ

毎週土曜日20:00〜21:00開催

ヨガを通じて自分の内面を見つめ、体の使い方や心のあり方を捉え、身体のパフォーマンスを最大限発揮すること、怪我を予防することを目的に行います。様々なスポーツに共通する動き 「立つ」「走る」「止まる」「ねじる」 この4つにフォーカスし、ヨガのポーズや呼吸、瞑想を通じて微細な体の感覚を感じ取り、精神の集中とリラックスで心の動きも見つめます。

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連載:コンディショニングとヨガ

第1回 - トレーナーに聞く日常をより良くする選択

ヨガが身体のなんとなくの不調を改善する分野で見直されています。コンディショニングのプロから見たヨガの効果について解説します。

第2回 - ヨガを継続すれば身体の不調が改善する理由

二つの姿勢に注目しながら、重力に逆らわない本来あるべき姿勢を学び、ヨガが継続することで得られるコンディショニングの効果を学びます。

尾花理恵子

ヨガインストラクター・アーユルヴェーダセラピスト ヨガ&ウェルネススタジオYu Co-Founder・Operational Director 自分をいたわるヨガとアーユルヴェーダ、スポーツコンディショングヨガをテーマに活動中。マイナビウーマン #1日5分のすっきりヨガ 監修。 2021年栃木県佐野市にUターン移住。地元の自然を満喫しながら東京圏へ通勤。心穏やかに生きることを目標にしている。