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ビジネスパーソンの生産性 – マインドフルネス瞑想で磨く集中力

一昔前にもてはやされたビジネスパーソンのマルチタスク思考ですが、その後調査により逆に生産性が下がることがわかっています。新しい事実が判明した今、仕事中の様々なノイズの洪水の中で集中力を維持するには何が有効なのか?ビジネスパーソンが獲得すべき新しいスキルを最新の研究結果とともに考えています。

一昔前、仕事を効率的にこなしていく上でマルチタスクがもてはやされていましたが、最近になり、様々なところで否定されていますね。人間においてマルチタスクは生産性が上がるどころか、下がるという研究結果があり、その結果を引用したものだと思います。マルチタスクが弊害をもたらすという結果は様々なところでありますが、最も引用が多いと思われるのが次のスタンフォード大学の研究結果です。

マルチタスクの幻想が明らかになった研究結果

スタンフォード大学が262名の学生を対象に調査 ※1 したものですが、その中でもっとも多くマルチタスク作業を行っていた19名と、最も少なかった22名に対し、2種類のコンピュータベースのテストを実施。実験は、eメールからウェブテキスト、ビデオ、チャット、電話を行ったり来たりしながら一つのタスクをこなすというものですが、どう考えてもマルチタスク作業を行っているグループのほうが結果が良いと思われるかもしれません。

しかし、結果はマルチタスクが少なかったグループのほうが明らかに良かったのだそうです。これには研究者たちも驚いたそう。また、マルチタスクが普段から多い学生が、悪い結果を出したのは、「おそらく、関係のないタスクからの妨害を取り除く能力が低下しているせいだろう」とのこと。

では、実際、何をすれば妨害を取り除きながらも作業に集中し、作業に生産性がもたらされるのか?

残念ながら上記の調査結果では、その方法までは対象になっていません。

最も知りたいのは生産性を向上する方法

マルチタスクが幻想であることはわかったものの、一番知りたいのはシングルタスクを効率的にこなしていくスキルをどのように身に付けるか?ということ。それこそが最も知りたいことであり、そんなスキルを身につけたいと思っている人も多いと思います。

しかし、ワシントン大学が実施した以下の研究結果は、一つの方法を示唆するものです。

ワシントン大学は、シアトルとサンフランシスコのビジネスパーソン、具体的にはベテラン人事スタッフ38名を対象にある調査を実施しました。※2 被験者にラップトップと電話が備え付けられた個室のオフィスを与え、入社当日という設定の中、ミッションを与えるのですが、詳細は以下のとおり。

  • 会議参加者の都合にあわせて会議スケジュールを設定する
  • 空いている会議室を予約する
  • 会議通知の草案を作成する
  • 会議中に提供される飲み物、食事の準備
  • 会議が生産的になるような議題について記した文書作成

上記の作業に必要な情報は、Eメール、インスタントメッセージ、電話で矢継ぎ早に送られてくることに加え、個室オフィスに誰かが訪問し、直接情報を伝えられる場合もありますし、全く関係のない電話で作業が邪魔される場合もあります。

この状況の中、被験者は20分で上記の作業を完了しなければなりませんが、上記は私たちの日常にある風景であり、リアルな状況と言えますよね。

生産性向上にはマインドフルネス瞑想が効果的

さて、その結果、38名の被験者はどうなったのか?

実は被験者は事前に3つのグループに分かれており、作業の集中力で高い数値を出したグループがいました。

集中力が高いグループは、事前に8週間のマインドフルネス瞑想のトレーニングを受けたグループだったのです。

その他二つのグループは、リラクゼーション技術を学んだグループ、そしてそのどちらの技術も学んでいない比較対象としての対照群でした。マインドフルネス瞑想のトレーニングを受けたグループは、それ以外のグループと比較して20%もの高い集中力を示し、多数の作業をやり散らかすことなく、一つのタスクを継続して行う時間が長くなる傾向にあることがわかりました。

カオスな状況の中でこそマインドフルネス瞑想が役立つ

そもそも、私たちはコンピュータではありませんから、同時に2つ以上のタスクはこなせません。人間にとってはマルチタスクという概念そのものが幻想であり、あくまでもシングルタスクを順番に処理していくことしかできないのです。

そして私たちはノイズに遭遇します。Eメールや会社内外からの電話、同僚からの声かけ、上司から「ちょっといいか?」といった強制的な作業停止です。これらのノイズを自分でコントロールしにくいことが私たちの状況を複雑にしているわけです。

ワシントン大学の調査が示したのはマインドフルネス瞑想がこれらのノイズの洪水の中でも、意識を散漫にすることなく集中力を高めることに役立ったということです。

マインドフルネス瞑想でノイズの洪水の中でも集中力を維持する

上記の結果は、あくまでもマインドフルネス瞑想が集中力・生産性向上に対して相関関係があることを明らかにしたもので、その因果関係までは明らかにしていません。

ここからは推測ですが、マインドフルネス瞑想は「今この瞬間」に集中することであり、移ろっていく意識を今に引き戻すというトレーニングでもあります。このマインドフルネス瞑想の習慣・トレーニングこそ、ノイズの洪水で私たちのパニックを抑え、移ろう意識を目の前の作業に引き戻し、集中力を維持するというトレーニングになっているのではないでしょうか。

業務中のノイズを減らすには環境などコントロールしにくい状況がありますが、私たち自身が集中力を高めるマインドフルネス瞑想を習慣化することはできます。

外的な方法に頼ることも良いですが、マインドフルネス瞑想によって私たち自身が持つ内なるパワーを高めることを真剣に考えてみてはいかがでしょうか。


参考元:


マインドフルネス瞑想ガイド

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Yu Staff

最初はサーフィンのために始めたヨガですが、ヨガから、ワークアウトや食事、呼吸法、瞑想など、もっぱら人間の脳、身体と心の繋がりへの興味が尽きない。最近はビジネス書よりもこれらをテーマにしたノンフィクションばかり読んでいます。