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ダイエットが失敗する理由とマインドフル・イーティングのススメ

数あるダイエット法を試してもリバンドする理由は自分の意識の弱さに原因があるのではなく、私たちの脳が邪魔をしているのだとか。死亡リスクにおいてはダイエットよりも健康的なライフスタイルこそが重要であることもわかっています。ではどうすれば良いのか?食事に意識を払うマインドフル・イーティングから始めましょう。

世の中には実に様々なダイエット食品やダイエット法があふれていますが、ダイエットをしてはリバウンドを繰り返し、自分を責めている人も多いのではないでしょうか?しかし、それはあなたがだらしないからではないようです。

ダイエットの失敗は、私たちの脳のせい?

神経科学者のサンドラ・アーモッド博士はTEDの講演でこれらの謎を解明しています。

アーモッド博士によると、私たちは4kgから7kgの範囲であればダイエットは可能なそうですが、この範囲を超えると脳の一部である視床下部が体重を制御しようと働くのだとか。これは私たちの意思で変えようと思っても難しいのだそうです。

またアーモッド博士は私たち人間は餓死に対する防衛能力が備わっており、それは変えられない。なんとか長期間食べずに体重を減少させたとしても、あらかじめインプットされたその範囲は下方修正されない。逆に食べ過ぎた時は上方修正されてしまうというなんとも不公平な話です。

大切なのは体重ではなく健康的なライフスタイル

出典:サンドラ・アーモット: なぜダイエットは成功しないのか via TED

また、講演の中では体重と死亡リスクの関係について調査結果を紹介しています。体重のグループは、正常、太り気味、肥満の3グープに分け、それぞれのグループで以下の健康的なライフスタイルを実践。

  1. 多くの野菜を摂取
  2. 適度な運動
  3. 禁煙する
  4. アルコールは適度に飲む

上記4つのうち、「いくつ実践したか?」と死亡リスクとの相対的な関係を調べています。すると最も死亡リスクが高かったのは肥満のグループにおいて、上記を1つも実践しないグループ。これは直感的にわかりやすいですね。しかし、ここからが面白いところで正常体重グループにおいて4つを実践した場合の死亡リスクと肥満グループで4つを実践した場合の死亡リスクはほとんど変わらないという結果なのです。

つまり、死亡リスクと体重との相対的な関係においては体重よりも何を実践したか、つまり健康的なライフスタイルを営んでいるかにより変わるということなのです。

ダイエットよりも食事に思慮深く、意識を払うことを大切に

この講演の結論として、博士は一心に自分の体と、食事と、向き合うこと、マインドフル・イーティング(Mindful Eating)を勧めています。これは決して大げさなことではありません。

マインドフル、つまり意識を払い、食事に向き合うとも言うべきでしょうか。マインドフルネスが盛んに取り上げられる米国を中心にダイエットに対しても適用されています。

残念ながら講演ではマインドフルネス・イーティングの概要だけしか紹介されていません。そのため具体的にどうすればよいのかを以下にまとめました。

マインドフル・イーティングの実践、10のポイント

それでは具体的に見ていきましょう。10つのポイントにまとめています。

1. まずは一食から始める

これから説明する習慣をいきなり朝・昼・晩に適用するのは無理があるかもしれません。全てを適用するのではなく、まずはどれか一食で取り組んでみましょう。

2. 食事中に他のことをしない

つまりTVやスマホを見るなどマルチタスクををやめて食事するということです。食事に意識を集中し、よく味わい、満足を感じるということです。

3. なるべく食卓など食事に意識を向ける環境で食事をする

キッチンで立ちながら、もしくはソファではなく食卓があれば食卓で食事を準備するなどが良いでしょう。またできる限りモノがないような清潔感のあるテーブルが理想的です。

そして忙しく食べてしまっては、料理の美味しさを感じることはできません。椅子に座って、落ち着いた気持ちで食べるなど環境を整えることが大切です。

4. まず料理を目で楽しむ

料理の全体の見た目、食材ひとつひとつに何が含まれているのか、それらの彩り、光沢に目を配り、細部に目を向けて、料理を目でも楽しんでみましょう。

5. 一口に意識を払う

香りや風味、食感、音に注意を向けましょう。

6. よく噛む

よく噛み、食材が十分に噛み砕かれたか確認してから飲みこみます。昔から言われたように100回噛むつもりでもいいかもしれませんね。よく噛むことで満足感も得られます。

また、意識を集中し、よく噛むことは幸せホルモン呼ばれる神経伝達物質、セロトニンを増やすという効果があります。セロトニンは自律神経の制御に関わっており、セロトニンが活性すると心が安定すると言われていますので、このような効果も期待できます。

参考記事:幸せホルモン セロトニンを増やして幸福感を高めよう

7. 人と話し、共有する

誰かと食事するときもあります。それに仲間や大切な人との食事では会話は楽しみの一つでもありますよね。このような場面で食事に意識を払うことは難しいことですが不可能ではありません。同席した相手と食事のことについて話しましょう。自分が感じた風味や食感、好きなのか嫌いなのかについて積極的に話し合うのも一つの手です。

8. 量ではなく質に気を使う

食材の量ではなく、可能な範囲で質を選択するということも大切です。質を重視することが健康につながりますし、何よりも食べ過ぎも減らすことができます。

9. 新鮮な食材を選んで、自分で食事を用意する

料理は、食べることと同じぐらい楽しく、リラックスができるものです。また、料理が完成に近づくにつれ、食べる楽しみも高まっていくことでしょう。

10. 満足したら食事をやめる

ここまでいつもより、一口ずつ、ゆっくりと時間をかけて食べることを実践してきました。そして大切なのが少しでも満腹感があれば食事をやめるということです。こうすれば自然と食べ過ぎは防げるはずです。

食事はもっと楽しく健康的になり、食べ過ぎが自然と防げる

このような習慣は私たち日本人には馴染みが深いもので、「いただきます。」に代表されるように食事に感謝する習慣が根付いています。しかし、いつの日か忙しさの中で食事に対する意識を忘れていたのかも。

マインドフル・イーティングとは言ってしまえば、よく噛み、よく味わうこと。それは食材に意識を払い、敬意を払うなど、つまるところ食事を当たり前と考えず、感謝して食べると言えるかもしれません。すると食べ過ぎは自然と防げるようになり、適正な体重となる。また健康的なライフスタイルを送れるということです。

ヨガダイエットの記事においても取り上げましたが、私たちの食生活を根本から改善しなければ意味がありません。その意味でもマインドフル・イーティングは初めの一歩かもしれません。

しかし、思い出されるのは、これらはいずれも子供の頃に親によく注意されたこと。忘れかけた親の言いつけを思い出しながら食事すれば健康になれる…。やはり両親は偉大です。

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引用・参考元:

Yu Staff

最初はサーフィンのために始めたヨガですが、ヨガから、ワークアウトや食事、呼吸法、瞑想など、もっぱら人間の脳、身体と心の繋がりへの興味が尽きない。最近はビジネス書よりもこれらをテーマにしたノンフィクションばかり読んでいます。