栄養と食事

食養生から考える花粉症対策 – ポイントは「肝腎要」

花粉症状に悩まされる方が年々増加傾向にあると伺います。でもその症状、本格的な春を迎える前にとる食事内容でいくらか軽減できるのです。花粉症状がひどくなってきますので、今、気をつけたい食事のポイントをお伝えしますが、今回はその前に、まずは中医学での冬と春の体の不調、変調について豆知識をお届けします。

冬と春の食事は「肝腎要」

さて、皆さん、「特に注意する、重要である」という意味で「肝腎要」または「肝心要」(かんじんかなめ)という言葉を普段から使っていると思います。中医学では、季節ごとに不調を感じやすい臓器があると考えられており、冬は「腎臓」、春は「肝臓」に対応しています。これらの臓器はまさに「肝腎要」という言葉があるように、体にとって非常に大切な役割をする臓器なのです。

中医学における腎臓の役割

「腎臓」は泌尿器系の器官の一つで、血液からの老廃物や余分な水分の濾過や排出(尿)を行い、体の恒常性の維持を主な役割としています。

中医学における肝臓の役割

「肝臓」は、ヒトにとって最大の臓器であり、食物の消化を助ける胆汁酸の生産、糖や脂質やたんぱく質、アルコールや各種薬物の代謝やアンモニアを尿素に変換するなどのほか、各種反応に伴って熱が発生する臓器であるため、体温の維持にも関わっているなど、その機能は多く、生体の内部環境の維持にはとても大きな役割を果たしてくれています。

腎臓と肝臓が影響する体の不調・変調

さてそれらの臓器に関わる「冬」は、体の冷えやむくみ、頻尿、膀胱炎などを感じやすい季節。それもそのはず、冬に対応している腎機能が低下しやすい季節なため、水分を溜め込みやすく、溜まった水分で体が冷えてしまっているから。

そして冬の間に水分や老廃物を溜め込みすぎると、春になって、花粉を頼りに鼻水やくしゃみで排出しようとすると考えられています。さらに春になると身体のだるさやあちこちの痛み、眠気も多くなります。

中医学では腎機能が低下すると疲れやすくなったり、腰痛、肩こり、耳鳴りや難聴、抜け毛、白髪、精力減退等の症状が出るなど、様々な老化現象を生むと言われています。

腎を整えることはアンチ エイジングにも効果的

血は五臓六腑に栄養を送り、皮膚や毛髪、爪等の形成行っていますが、腎は、その血液からの老廃物や余分な水分の濾過や排出(尿)を行うため、血と腎は深い繋がりがあるのです。

例えば、中医学では髪の毛のことを『血余(けつよ)』と言いますが、これは、「髪の毛は血の余り物」と考えられ、全身の血の巡りに余裕があればふさふさと健康な髪の毛となり、血に余裕がない血虚(けっきょ)の状態では白髪や抜け毛、傷んだ髪の毛になるという意味。

つまり冬の間に腎を整え、しっかりと体を温めておくことは、花粉症状などを緩和して快適な春を過ごすだけではなく、アンチエイジングのためにも効果的なのです。

さて、腎臓と肝臓の大切さ、ご理解いただけましたか?
次回は食養生の観点から腎臓に良い食事のポイントとアイデア料理についてお伝えしますのでお楽しみに。

早坂 理恵

早坂理恵 | Rie Hayasaka / Mangala Arati。女優。8歳でデビュー。演技の勉強を始めて間も無く、NHK朝の連続テレビ小説のキャストに選ばれる。18歳で上京し数々の現場で経験を積む中、持病である心臓の病と比較的新しい「脳脊髄液減少症」を発症。芸能活動を休止。現在、復帰したものの今もなお治療中。プライベートではヨガをライフワークとし、水素美容分野での活動(「水素美容のひみつ」著者)。全米ヨガアライアンス RYT500, RPYT(マタニティヨガ), RCYT(キッズ), シニアヨガインストラクター / アシュタンガヨガインストラクター / フィジカルトレーニングインストラクター / Yoga Ed. PI1・PI2修了 Yoga Ed. エデュケーター / 国際食学士 / マクロビオティックセラピスト / アーユルヴェーダベーシック / アンチエイジングアドバイザー / 健康美肌指導士 / 美肌食マイスター など複数の資格を有すなど、心と身体の真の健康をテーマに活動を行っている。