ハリウッドセレブが食生活に取り入れているので日本でも目にする機会が多くなっているココナッツオイル。でもココナッツオイルだからと多量に摂取しては逆効果。なぜスーパーフードと言われているのか?その理由や効果・効能を理解することで上手に活用できます。
スーパーフードの一つとして私たちを虜にするヴァージンココナッツオイルは、熱帯から亜熱帯地域で栽培されるココヤシの果実。フィリピン、インドネシアに次いで生産量が高いインドでは、数千年前から伝統医学のアーユルヴェーダにおけるメディカルフードとしてさまざまな用途に用いられてきました。
ミランダ・カーやマドンナを始めとするハリウッドセレブがこぞって食生活に取り入れていることから、ココナッツオイルは日本でも既にポピュラーな存在になっています。しかし、如何に優れた油でも脂質ですし、カロリーはあります。また、摂り入れ方によっては効果が半減したりしますので、目的に応じて適量を摂ることが大切。
ココナッツオイルは手に入れやすくなってきたからこそ、効果・効能を知り上手に活用しましょう。
これだけは知っておきたいココナッツオイルの効果・効能

ハリウッドセレブが摂り入れているからという理由は置いておくとして、なぜ、ココナッツオイルが人気になったのか?その理由を知ることが効果的なココナッツオイルの摂り入れ方を理解する近道です。
1. 中鎖脂肪酸を多く含むココナッツオイルは体脂肪がつきにくい
ココナッツオイルはの特筆すべき特徴は中鎖脂肪酸を多く含んでいることでしょう。
中鎖脂肪酸は一般的な食用油に含まれる長鎖脂肪酸に比べて、体内で素早くエネルギー源に変換されます。また、食後の熱産生(DTP)が高く、直接肝臓に運ばれて代謝されるため血液中の中性脂肪を増やさない、という2つの特徴があります。そのためエネルギーとして利用されやすいために体脂肪がつきにくいと言われています。糖尿病に代表される生活習慣病などの予防において注目されている理由がここにあるのです。
実際に、腹囲88cm超の20歳〜40歳の女性40人に対して行われた試験では、カロリー制限と1日50分のウォーキングを励行したうえで、ココナッツオイルを1日30ml摂る群と、大豆油を1日30ml摂る群とに分けて12週間継続。実験開始1週間前と終了1週間後を比較した結果、BMIは両群とも低下しましたが、ココナッツオイル群のみ腹囲も減少したそうです。※1
ただし、この実験では被験者にカロリー制限と運動は課していますので、ココナッツオイルだけでダイエット効果があったとはならないことには注意が必要です。
2. ココナッツオイルは免疫力を高める
ココナッツオイルの中鎖脂肪酸は、ラウリン酸が主要な成分です。
このラウリン酸は母乳にも多く含まれていることからも分かる通り、免疫力を強化したり抗菌作用があることがよく知られていますね。また、ココナッツオイルにはビタミンE(トコトリエノール)が含まれており、抗酸化力があるので、シミ、シワ、たるみなどの老化防止や美白効果が期待できるといわれています。
3. ケトン体を効率的に生成するココナッツオイル
ココナッツオイルの特徴からもう一つ優れている点をあげれば、ケトン体を効率よく生成できることでしょう。ココナッツオイルの主成分である中鎖脂肪酸は、長鎖脂肪酸に比べてケトン体を10倍も効率よく生成できることがわかっています。
通常、私たちの身体はブドウ糖からエネルギーを得ています。しかし、ブドウ糖が枯渇し飢餓状態になると、身体に蓄えた脂肪を使い、肝臓でケトン体が生成されます。ケトン体はブドウ糖に代わるエネルギー源として活用されるのです。
ケトン体は筋肉や心臓など、エネルギー源として使われることで疲れにくい身体になったり、最近では脳が利用するエネルギー源としても注目されています。中鎖脂肪酸を摂取すると血中のケトン体の量が増え、記憶力の低下が抑制されたという研究結果が発表され、アルツハイマー病の予防にも効果が期待されているそうです。※2
また、ケトン体を効率よく生成する特徴は、糖質制限ダイエットやケトン体ダイエットなどを行っている方であれば相性が良さそうですね。
ココナッツオイルの研究は現在進行形
中鎖脂肪酸が含まれるオイルとしては、最近は中鎖脂肪酸が100%であるMCTオイルなどが話題です。それに対してココナッツオイルは天然でありながら中鎖脂肪酸が60%も含まれており、スーパーフードと言われる理由がここにあるのです。
またココナッツオイルは、ここで紹介した効果のほか、今まさに研究が進んでいます。まだヒトの臨床ではなく動物実験の段階ですが、ラットでの骨減少症の抑制効果 ※3 や、血圧上昇抑制や、冠状動脈硬化抑制、脳での抗酸化物質増加によるストレス耐性の向上 ※4 などが確認されたそうです。
これ以外でも数多くの医学論文も増えていますので、スーパーフードと言われるココナッツオイルの効果はまだまだこれから明かされていくのでしょう。
ココナッツオイルの上手な摂り入れ方
どのくらい摂取すればいいの?
冒頭でも説明した通り、ココナッツオイルがいかに優れた油でも脂質であることは変わりありません。例えば私たちが日常的に使用している植物油はスプーン大さじ一杯あたり110 kcal。ココナッツオイルも変わらず110 kcal と同じです。(日本食品標準成分表)ココナッツオイルの効果・効能を切り取って、あまりに摂取しても良いはずはありません。
摂取するならば全体の食事量を調整することはもちろん、食事の質を高める上でココナッツオイルを上手に摂り入れましょう。甘い香りが強いので、普段使いの油をココナッツオイルに全て代える、というのは非現実的です。直接摂取するなら一日にスプーン1〜3杯に止めながら上手に使いましょう。
ココナッツオイルの甘い香りを上手に活かす

期待が大きいココナッツオイルをどのように摂り入れていくか、私は簡単に普段の食事にとりいれることを提案します。ココナツオイルはやっぱり甘い香りが特徴なので上手に活かしたいですね。
例えば、ホットコーヒーに小さじ一杯を入れると良い香りでコーヒーが楽しめます。また、パンケーキの生地やシフォンケーキの生地に混ぜて焼くこともおすすめ。
甘い香りが苦手ならスパイスと一緒に
逆に甘い香りが苦手という方もいると思います。なかなか普段の食事に使いにくいと思われがちですが、野菜のスパイス炒めに使用してもGood。甘い香りが抑えられ苦手という人でも食べやすくなります。冒頭でも説明しましたがアーユルヴェーダでもココナッツオイルは使われます。以下の記事で紹介したキャベツのポリアル(スパイス炒め)でもココナッツオイルを使用していますので参考にしてみてください。
参考記事:秋冬におすすめ – 消化力を上げるアーユルヴェーダレシピ
糖質制限中なら良質な脂質として
また、糖質制限ダイエットやケトン体ダイエットを行なっている方であれば炭水化物のような糖質と一緒に食べてはいけませんよね。
そのような場合は、代謝を上げやすい紅茶など陽性の飲み物にココナッツオイルをスプーン一杯だけ混ぜる。または良質な脂質として、そのままサプリメントのような感覚で小さじスプーンで一杯を摂るのが一番シンプルかもしれません。もちろん、他の食用油の代わりとして使いますから摂りすぎには注意してくださいね。
色々と活用できるココナッツオイル。効果・効能を理解して上手に取り入れてみてください。
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引用・参考元
- ※1 Effects of dietary coconut oil on the biochemical and anthropometric profiles of women presenting abdominal obesity. (via PubMed.)
- ※2 脳の栄養不足を助ける中鎖脂肪酸 (via 中鎖脂肪酸サロン)
- ※3 Virgin coconut oil supplementation prevents bone loss in osteoporosis rat model. (via PubMed.)
- ※4 Coconut oil supplementation and physical exercise improves baroreflex sensitivity and oxidative stress in hypertensive rats.(via PubMed.)