「板のように」しっかりとまっすぐ身体を支えるアルダチャタランガダンダーサナ。見た目ではシンプルなものの実践するには、膝蓋骨の向き、大腿四頭筋、さらにハムストリングス、内転筋など全身を集中しなければいけません。シンプルなポーズだからこそ、しっかりチェック。
太陽礼拝Aに登場する5つめのアーサナ、アルダチャタランガダンダーサナ(クンバカーサナ)は、日本語で「板のポーズ」と呼ばれるように、板のようにしっかりとまっすぐ身体を支えるアーサナです。
アルダチャタランガダンダーサナ(クンバカーサナ)
このアーサナは腕立て伏せと同じように腕と手首を強化し、腹筋を鍛えます。正しいアライメントでこのアーサナをとると、背中をめいいっぱい広げることができるので、筋肉組織への酸素供給量が増え、肩甲骨周りの緊張がほぐれます。
今回もチャック先生にミスアライメントを教えていただきましたが、ありがちなミスアライメントを理解することで改善もできると思います。みなさん、自分のアルダチャタランガダンダーサナを確認し該当する箇所があれば改善にお役立てください。
まずはいつものようにチャック先生に見本を実演いただきます。
冒頭で説明した通り、板のようにしっかりとまっすぐ身体を支えることが求められるアーサナです。見本写真では、四肢で均等に重心をあずけ、手と足に体重を二分されていることに気づけます。
また、写真では分かりにくいこともありますが、板のようにまっすぐ身体を支えるには、膝蓋骨の中心を真下に向き、大腿四頭筋を引き締め、膝蓋骨を持ち上げる。さらにハムストリングス、内転筋を引き締めるなど全身に集中しなければなりません。
これをお手本に違いに注目しながら以下のミスアライメントを確認していきましょう。
アルダチャタランガダンダーサナ(クンバカーサナ)のミスアライメント
- 肩の下に手がない
- 踵を蹴っていない
- 体重が手と足に2分でない
- 肘が伸びすぎている
- 肩甲骨が寄り、背中が落ちている
- 骨盤が前傾している
- 骨盤が上がっている、または下がっている
- 頭蓋骨が落ちている
今回はこの中から、間違いやすい5つのミスアライメントをピックアップしてご紹介します。以下から詳しく説明します。
踵を蹴っていない
このアーサナは、つま先を立てて腰と背中を一直線にし、後頭部から仙骨を通って踵に至るまで全てが1つの平面に収まるようにとります。
冒頭の見本と見比べるとわかると思いますが、この写真では踵をしっかりと蹴れていません。踵を蹴っていないと、つま先に余分な力が入ってしまいます。すると、次のミスアライメントにあるように、体重を手と足で2分に分けられなくなるため、他の箇所で体重を支えようとしてしまいます。
その結果、骨盤が前傾したり、背中が落ちて腹部が下がったり、肩甲骨周りに力が入って肩がすくんだりと、上半身に向かっていくほど力があちらこちらに分散してしまいます。
そのため、踵を蹴ることをしっかり意識しましょう。
肩甲骨が寄り、背中が落ちている
そもそもアルダチャタランガダンダーサナ(クンバカーサナ)は、腹筋を鍛えると同時に肩甲骨周りの緊張をほぐして筋肉組織への酸素供給量を増やすという目的があるアーサナ。そのため肩甲骨に挟まれた脊椎を天井に向けて押し上げていくアーサナなのです。
そのため、写真のように肩甲骨が寄り、背中が落ちている状態は本来の目的を失ってしまいます。しっかりと腕を長く伸ばすつもりで、手のひらを強く床に押し付けると、肩甲骨の間の皮膚が伸び、背中の上部が広くなる感覚がわかります。そのように意識してみてください。
骨盤が前傾している
腕や手首の力が弱ってくると、腰が落ちて骨盤が前傾しやすくなります。
このような状態は腰痛の原因になるため、腰を下げ過ぎないように腹筋を使って一直線を維持します。辛いようであれば、膝を床について、「膝をついた板のポーズ」をとるようにしましょう。
骨盤が上がっている、または下がっている
骨盤が上がって臀部が山なりに盛り上がっている場合は、手と足の距離が近いのかもしれません。肩の位置が合っているか(肩の真下に手首があるか)確認し、体重を前に移動して、場合によっては手を前に動かして、肩が手首の真上に来るようにします。
逆に骨盤が下がって身体が谷折りになってしまっても、手と足の距離が近いか、あるいは腹筋を使えていない可能性があるので、腹筋を使って元の直線に戻します。
頭蓋骨が落ちている
頭蓋骨が落ちると、肩周り、腕、手首に必要以上の力が入ってしまいます。逆を言うと、腕や肩周りに力が入りすぎると、重い頭蓋骨を支えられなくなり、頭蓋骨が落ちてしまうということです。その結果、腹筋が使いにくくなり、頭頂から足に至るまで適切に力を入れることができず、体重を手と足で2分に分けられなくなります。
また、上半身ばかりに力が入ってしまう結果、肩周りを痛めたり、肩凝りの原因になる可能性も出てきます。ここでも基本のターダーサナのポーズを意識して、背中の延長線上に頭蓋骨があるように、顎を引いて首の後ろを長く保つようにしましょう。
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