前回、「冷える体とはどんな体か?」というお話をしました。
冷える体は、
- 血行が悪い
- 筋肉が少ない
また改善には、
- 適度な運動
- 適切な食事
が必要だとお話しました。
今回は、体が冷える原因をさらに突き詰め、意外な冷えのモトをお伝えしましょう。
次回は運動の話!としていましたが、運動の話には写真が必要だったので、ちょっと先送りします。ご容赦くださいませ。
冷え性の原因と改善1. 技術の進化「冷えスパイラル」を断つ
冷え性は現代病。そういっても過言ではない、と私は考えております。
ちなみに、冷え性と冷え症と漢字の違いで微妙なニュアンスの違いがありますが、冷え症は最近出てきた言葉で、まだ定義や使い分けが微妙なので、この記事では「冷え性」で統一いたしますね。
さて、話を戻しまして、なぜ「冷え性」が現代病なのか。それは、技術が進化したことが「冷える」という症状の増加を招いたからです。
昔ながらの「冷やす」知恵を思い出してみてください。
- 打ち水をする、
- 川の流水で冷やす、
- 水浴びをする、
- 薄着をする、
- 団扇で扇ぐ、
- 風鈴を鳴らす…
どれもこれも、それなりに涼を感じるものではありますが、クーラーの冷たさには遠く及びません。飲むもの、食べるものを冷やすといったって、冷蔵庫・冷凍庫で冷やす力とは比べ物になりません。
そう、昔の技術では、氷も今のように捨てるほど作れなかったし、真夏に上着が必要なほど冷やすことなんて到底できなかったのです。
それがどうでしょう!この数十年で、不必要なほど何でもかんでも冷やせる技術が生まれました。
オフィスもお店もデパートも、クーラーで冷え冷えしているのに、飲食店で出てくるお水には氷が入っていて、自動販売機には10度以下に冷えた商品が並ぶ…。
屋内で過ごすことが圧倒的に多い現代人にとって、技術の進歩による冷たいものの上乗せは、体を芯から冷やしてしまうものに他なりません。
体が冷えれば冷えるほど、相対的に暑さに敏感になり、ちょっと外へ出れば暑い暑いと不平を漏らし、さらに冷えを求める、「冷えスパイラル」に陥るのです!!
冷え性の原因と改善2. 体温を急激に下げる – 冷えた飲み物や食べ物を避ける
「真夏でも、温かい飲み物が飲みたいな、何で自動販売機にはコールドドリンクしかないんだろう?」と感じたことはありませんか?
最近は常温のドリンクを扱うお店や、夏でもホットドリンクを置くお店も増えてきています。真夏に冷たくないものが求められるくらい、世の中はクーラーや冷蔵庫の発達で冷えきっているのですね。
ガンガンにきいたクーラー、キンキンに冷えた飲み物には要注意。だいたいからして、冷蔵庫で人工的に冷やした飲み物、食べ物というのは、人体の体温に対して冷たすぎるのです。
人間の体温は36℃前後。深部の体温はそれより約1℃高いと言われています。そして、冷蔵庫や自動販売機では、基本、10℃以下に冷えるように設定されています。ということは、冷蔵庫で冷えた飲み物を飲むと、体温より約30℃も低いものが体に流れ込んでくることになります。30℃も高低差があったら、体はびっくりしちゃいますよね。
それほどまでに冷たいものが入ってきたことで、体は緊張し、血管は収縮し、内臓の働きを司っている血流も悪くしてしまうというわけ。
そうなれば、内臓の働きも悪くなり、消化も促されず、よくないことだらけ…。冷蔵庫に入れるほど冷やさなくても十分に美味しいものはたくさんあります。なんでもかんでも冷蔵庫に!の習慣を、ちょっと見直してみるのはいかがでしょうか?
冷え性の原因と改善3. 薬は体を冷やす – 必要か見極めて最小限に。
近年の医療の発達は目覚ましいですね。平均寿命もどんどん長くなり、今まで治せなかった病気も治るようになってきています。ちょっとした風邪とか不調ならば、お医者さんに行くと薬ですぐ症状を鎮めてくれます。いきなり症状がなくなっちゃうなんてすごすぎますよね、お薬って。
便利な薬だが、体を冷やす元でもある
でも、ちょっと待って!このすごすぎるお薬が、意外にも体を冷やしている犯人かも知れないのです…。
薬を飲んだことありません!という方はいらっしゃいませんよね。むしろ、薬浸けです、なんていう方も多いかも知れません。特に男性には薬大好きな方も多いといいます。
頭痛がするな~と思えば鎮痛剤、忘年会シーズンで飲み過ぎ食べ過ぎれば胃腸薬、寒い時期に風邪をひいたら解熱剤。これらの鎮痛剤、解熱剤、常備してます!という方も少ないですよね。実は、いつも飲んでいるそれらには、体を冷やすものが多いのです…。
解熱剤、鎮痛剤というのは、痛みのもとになる「プロスタグランディン」という物質の働きを抑える作用があります。これを抑えると交感神経が優位になるため、血管が収縮する、つまりは血行がスムーズでなくなるために冷えるのです。
喘息やアレルギー疾患にも処方されるステロイドの内服薬は、数ある薬の中でも最も体を冷やしやすい薬だそうです。なぜなら、炎症を抑える作用が強い薬だから。怪我をして患部が腫れている状態をイメージしてみてください。炎症が起きている部分は冷やして症状を抑えますよね。同じことが体内で行われているのです。
また、鬱症状を改善する薬、向精神薬にも副交感神経の働きを抑制してしまう作用があるため、血管は収縮し、内臓の働きも鈍くなり、冷えてしまうのです。
腰や肩も要注意。痛みを感じると冷湿布、もしくは消炎作用のある湿布をいつでも貼ってしまっていませんか?冷湿布は言わずもがな、分かりやすく患部を冷やします。消炎作用のある貼り薬は、冷たいと感じなくても、炎症を抑える作用が前述の通り患部を冷やしてしまいます。
患部が熱をもって腫れていたり、打ち身や捻挫をした直後には炎症を鎮めるために冷湿布などを使う必要があります。でも、急性期が過ぎたら逆に温めて血行を良くした方が、改善に寄与するはずです。神経痛ならば冷やすなんてもってのほか。寒くなると痛みが出る、という話、よく聞きませんか?多くの場合は温めて血行を良くし、細胞の修復を促す方が快方にむかうのです。
むやみに薬に頼るのは止めよう
基本的に薬は、今ある症状を抑えるものです。症状の原因、根本を治療するものではないということを覚えておいてください。熱があるなら熱を無理矢理下げる。痛みがあるなら、痛みを抑えるもの。漢方薬はまた別ですけどね。
ただ、あまりに熱が高いなら、ある程度は無理矢理にでも下げないと危険なこともあります。むやみに痛みが続くことで体力を消耗し、回復する力が弱くなってしまうこともあります。ですから、薬が全部ダメだと言いたいわけではありません。不調を感じたらすぐ薬!と何でもかんでも頼るのではなく、時には自分の抵抗力で闘い、必要なときだけ、必要な量を服用するように心がけましょう!
睡眠薬や降圧剤も要注意ですよ!
冷え性改善3. やっぱり喫煙は主犯の一つ – 禁煙しよう
今や回りは敵ばかり、と辟易としている方も多いでしょうが、申し訳ございません。やっぱり体を冷やすという悪影響もあるんです。
タバコ。
タバコを吸える場所は減る一方だし、忘年会でタバコを吸えば女性ばかりか男性にも嫌な顔をされるし、家族は二言目に禁煙しろと…なんて辛い思いをされてる喫煙者も多いでしょう。そこに追い討ちをかけるようで心苦しいのですが、タバコは立派な冷えの一因なのです。
ニコチンは体を冷やす原因の一つ
タバコには有害な化学物質が複数、含有されていますが、その中でもメジャーなニコチン。これは体を冷やす主犯です。
- ニコチンが体内に入る
- 血管が収縮する
- 心拍上昇、血圧上昇、血行悪化
- 体が冷える
もうここまで読んできた方は、血管の収縮がおきるということは…お分かりいただけますよね?
タールが体を冷やすメカニズム
タールも曲者です。このタールに含まれる一酸化炭素が、本来酸素と結び付くはずの血液中のヘモグロビンと結合してしまい、酸素の運搬を妨げてしまうのです。血液は全身にめぐっていても、酸素がやってこないのでは意味がない。血行が悪い状態と同じなので、手足が冷えるというわけなのです。
さらに、喫煙歴の長い方は、肺の機能が弱まって呼吸が浅くなる傾向にあります。肺活量が測定できないくらい呼吸する力が弱い方、短くて細い呼吸の方が多いです。
血液からも酸素が運ばれず、さらに呼吸で入ってくる酸素も少なかったら大惨事ですよね。
こんな具合なので、喫煙者は男女問わず体温の低い方が多い傾向にあります。低体温の体はガン細胞にとって好都合な体。喫煙者に肺ガンが多いのは、体温が低いのも関係しているかもしれませんね。
冷え性の原因と改善4. ストレス – リラックスの大切さ
次なる冷える原因は「ストレス」。
- ストレスを受ける
- 緊張状態になり、
- 血管が収縮する
- 体が冷える
というメカニズム。
心がダメージを受けると、体もダメージを受ける
強いストレスがかかると、ストレスに対抗するため、アドレナリンやノルアドレナリンといった緊張型のホルモンが多量に分泌され、交感神経が優位になり、全身が硬く硬直し、血液循環が悪くなり、内臓の機能も落ちてしまうのです。
仕事に追われてぐーーっと集中していると、気がついたら肩がガッチガチだった、なんていうこと、覚えがありませんか?また、仕事のミスに気付いた瞬間、または上司にすんごく怒られてるとき、気がついたら歯を食い縛ってた、手を強く握ってた。そんな経験、誰しも一度はありますよね。
心がダメージを受けると、体もダメージを受けてしまうのです。
だからこそリラックスが大切
ストレスを受けないことが一番ですが、タバコのように止められるものではありません。ですから、ストレスがたまった、つまり心身が緊張状態にあったら、ストレスを発散する、すなわち心身を解放することが必要なのです。心をリラックスさせれば自然と副交感神経が優位になり、血流も改善し、温まります。
体からのアプローチもいいですね。運動やマッサージで体をほぐせば、リラックス効果で副交感神経が優位になり、血管も柔らかくなり、拡張し、血行が良くなる。
心が温まれば、体も温まる。体が温まれば、心も温まる。
僕らはそういう風にできている。
現代的冷え性の対策まとめ – ちょっとした工夫で改善できる
現代に生きる我々だからこそ起こる、現代的冷え性の原因をいろいろお伝えして参りました。今回は男性のみならず、女性の皆様にも共感して頂けることがあったのではないでしょうか?
では、これらの現代的冷え性と闘うにはどうしたらいいのか?それは、各項目でお伝えしている対策に加え、現代の環境に負けない対策を取ることです。
飲み物は常温、食事は暖かいものを選ぶ
例えば、氷と冷蔵庫に頼ることを減らし、飲み物は常温、もしくは温かいものをとるように心がけてみましょう。冷たいおそばより温かいおそば、生野菜より温野菜、お酒はお湯割り、熱燗、常温で。
どうしても冷たいものを飲むときは、食べるものは温かいもの、とバランスをとるようにするなど、体を内側から温めるように意識して生活してみましょう。なかなか温かい飲み物に出会えない夏は、タンブラーなどで温かい飲み物を携帯すると安心ですよ。
クーラーをつけるときは首、手首、足首を冷やさない
クーラーの冷たさから体を守るには、体の「首」のつくところを冷やさないようにしましょう。手首、足首、首。これらが冷えると体全が冷えてしまいやすいからです。マフラー、手袋、靴下、いろいろ温めアイテムを工夫してくださいね!これは夏も同じ。クーラーが強いところでは上着必須!しっかり靴下を履くようにしましょう。
薬の量を減らす、ついでに禁煙しよう
薬の量はほどほどに。飲みすぎに注意し、時には漢方も取り入れてみてくださいね。
そして、薬に頼らなくて良くなる体づくり!体温を上げて抵抗力を高めます。タバコを吸う方は、できれば本数を減らし、運動、入浴、食事を通して体温を上げて、さまざまな不調に対抗できる体を作りましょう!!
ストレス発散、そして何よりも健全な体作りを
健全な体には健全な精神が宿る!しっかり体を作り、ストレスを感じたら発散できるようにしましょう。ストレスで緊張した体を、緊張したまま放置しない心掛けが大切です。
思い当たることがあった方は、ぜひ一つでも、気を付けて生活をしてみてください。温かい生活は、あなたが考えるよりきっと快適ですよ。
運動で体を温める話は年明けに!最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございました!